【プレミア12】侍J山崎が4年前の悔しさ晴らした9回のマウンド 「背中を見ていた」

侍ジャパンのDeNA・山崎康晃【写真:荒川祐史】

第1回プレミア12では代表に選出されるも準決勝の韓国戦は登板なく敗退

■日本 5-3 韓国(プレミア12・17日・東京ドーム)

 野球日本代表「侍ジャパン」は17日、東京ドームで「第2回WBSCプレミア12」決勝の韓国戦に臨み、5-3で逆転勝ち。宿敵を下し、2009年の第2回WBC以来、10年ぶりの世界一に輝いた。侍ジャパンの守護神、山崎康晃投手(DeNA)は9回を3者で締めると、喜びの雄たけびを上げた。

 全7球、すべて代名詞のツーシームだった。先頭のパク・ビョンホを三ゴロとすると、続くキム・ヒョンスも二ゴロに。最後はヤン・ウィジに2ストライク1ボールから低めの球を振らせて空振り三振に斬った。

 山崎はこの登板を「9回のマウンドに立ててよかったです」と喜ぶ。4年前、第1回の「WBSC プレミア12」の決戦ではマウンドに呼ばれることはなかった。準決勝に進んだ日本は韓国と対戦し大谷翔平投手(エンゼルス)が先発したが、3点リードの9回に2番手の則本昂大投手(楽天)が初失点、そのまま継投もむなしく逆転を許し、3位決定戦に進んだ。

 ルーキーだった山崎はその年37セーブを挙げて代表に招集されていたが、韓国戦では登板がなかった。その当時のことを山崎は「本当に悔しくて。その時はどんどんブルペンを出ていく選手の背中を見ていた」と振り返る。その悔しさを世界一という形で晴らした山崎は、優勝が決まるとバッテリーを組んだ曾澤に飛びつき、抱き合った。「あれから4年が経って、こうして代表に入って。成長させていただいたと思う」。

 今回は初めての胴上げという嬉しい出来事も経験した。「気持ちよかったです。胴上げ投手になったことがなかったので、2009年のWBCのダルビッシュさんの動画を見返しました。どういう姿で胴上げ投手になるか分からなかったので。恥ずかしいんですけど」と照れ笑いする山崎の表情は満ち足りていた。

今大会で得たものを手に次の目標は「世界一を東京五輪で」

 山崎はレギュラーシーズン61試合に登板して30セーブを挙げ、防御率1.95をマーク。チームの2位という成績に貢献したが、悔しい思いも味わった。

 巨人がマジック1で迎えた9月21日の巨人戦(横浜スタジアム)、2点リードで9回のマウンドに上がると2死から連続四球、同点打を奪われ、目の前での胴上げを許した。悔しさに言葉を詰まらせ、「上を向くしかない」と唇を噛んだ山崎。今回のマウンドも2点リードとはいえ、世界制覇を目前にしての重圧は相当のものだったに違いないが「重圧もかかってくるし、9回に出れる選手であることを誇りに思う気持ちもあった」と胸を高ぶらせ、結果に繋げた。

「一発勝負で、勝敗がすぐ出る大会。短期決戦ですし色んな調整方法があった。それはマウンドに上がる以外の部分でもありました」と短期の国際大会への対応力も身に着けたようだ。

「東京五輪に向けて代表のチームとしていいスタート切れるようにと思っていました。東京五輪に向けて力をつけて、また選んでいただけるように来シーズンは頑張りたい。世界一を東京五輪で獲れるように」。東京五輪の決勝戦は慣れ親しんだ横浜スタジアム、そのマウンドでも今回のような笑顔が見られるだろうか。(臼井杏奈 / Anna Usui)

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