第66回マカオグランプリ:ルターが2度の赤旗で荒れたモーターサイクルGPで優勝。ポールのヒックマンは2位

 第66回マカオグランプリのモーターサイクルグランプリ決勝レースが11月16日、全長6.120kmのギア・サーキットで行われ、2度の赤旗中断という荒れたレースでホンダRC213V-Sを駆るマイケル・ルター(MGM by Bathams)が通算9度目の勝利を収めた。

 今年で53回目の開催となるマカオ・モーターサイクルグランプリ。予選は14、15日の2度行われ、ベストタイムでグリッド順が決定する。

 ポールポジションは、予選1回目に2分25秒100を叩き出したピーター・ヒックマン(MGM by Bathams)が獲得し、フロントロウは予選2回目に2分25秒382を記録したルター、2回目に2分26秒093をマークしたデイビッド・ジョンソン(Tak Chun Group by PBM Ducati)が並んだ。4番手のジョン・マクギネス(Tak Chun Group by PBM Ducati)は技術的なトラブルが発生したためフォーメーションラップでレースから離脱した。

第66回マカオグランプリ、モーターサイクルGPのスタートシーン

 27台が出走した決勝レースは、晴れ、気温は24度のドライコンディションで開始した。12周のレースがスタートし、ポールスタートのヒックマンがホールショットを獲ると、ルターが2番手、5番手スタートのリー・ジョンストン(Ashcourt Racing)が3番手につける。

 リスボア・ベンドでデイビッド・ジョンソンが3番手を奪い返すと、メルコヘアピンでは立ち上がりでアンドレ・ピレス(Beauty Machines Racing Team)がハイサイド転倒を喫しリタイア。オープニングラップは、ヒックマン、ルター、デイビッド・ジョンソンの順でコントロールラインを通過した。

第66回マカオグランプリ、モーターサイクルGPの決勝レースの様子
デイビー・トッド(MGM by Penz13)

 2周目にはトップのヒックマンがルターに2秒ほどギャップを築いており、その1.5秒後ろにデイビッド・ジョンソンが続く。3周目に入る頃にはヒックマンが後続に4秒の差を開き独走態勢に。トップ3は順位に変動はなく、4番手からはジョンストン、ホースト・サイガー(Saiger Racing)、デイビー・トッド(MGM by Penz13)、ゲイリー・ジョンソン(Ashcourt Racing)、イアン・ハッチンソン(Team Milwaukee with SMT)と続く。

後続を引き離すピーター・ヒックマン(MGM by Bathams)

 ガードレールに囲まれた市街地で、コース幅も狭いため、オーバーテイクは少ないが、3周目にトッドがサイガーを交わし5番手に浮上。トップ4はまたも順位が変わらずヒックマンとルターの差は7秒に開いた。

 4周目、14番手を走行中だったロバート・ハドソン(JGH Racing)がS字区間であるソリチュード・エセスでスリップダウン。後ろを走っていたマレク・チェルヴェニー(Wepol Racing)はウォールから跳ね返ってきたマシンと激突寸前で、ブレーキをかけると転倒を喫した。

ピーター・ヒックマン(MGM by Bathams)と話すマイケル・ルター(MGM by Bathams)

 コース上では、ハドソンが駆っていたS1000RRの燃料タンクからガソリンが大量に漏れだしたため、ヒックマンのみ5周目に入った段階で赤旗が掲示されレースが中断。ライダーはピットに戻り、レース再開を待った。

 レース中断から20分程度でピットレーンがオープンし、序盤にリタイアした2台と赤旗の原因となったクラッシュに巻き込まれた2台を除く23台がグリッドに向かった。

 再開後は、3周目終了時点での順位がグリッドに適応され、残り周回は8周。好スタートを決めたルターが1コーナーでヒックマンからトップを奪い、トッドがふたつポジションを上げ3番手に。その後ろはデイビッド・ジョンソン、ジョンストン、サイガー、デレク・シェイルズ(Burrows Engineering / RK Racing)、ハッチンソン、ゲイリー・ジョンソン、マイケル・スウィーニー(Martin Jones Racing)というトップ10だ。

マイケル・ルター(MGM by Bathams)とピーター・ヒックマン(MGM by Bathams)のトップ争い
ドゥカティ パニガーレV4 Rsで3位を獲得したデイビッド・ジョンソン(Tak Chun Group by PBM Ducati)

 デイビッド・ジョンソンがリスボア・ベンドでトッドを抜き3番手に浮上し、1周目終了時点ではルター、ヒックマン、デイビッド・ジョンソンがトップ3。4番手にトッド、5番手にジョンストンが続き、ハッチンソンが6番手に上げ、7番手がサイガー、8番手がゲイリー・ジョンソンと順位が入れ替わった。

 2周目のリスボア・ベンドで、ヒックマンがすかさずトップを奪い返して後続を引き離しにかかり、ハッチンソンも5番手に浮上した後、ポリス・ベンドで6台のマシンが絡むクラッシュが発生。赤旗が掲示され2度目のレース中断となった。

 その後、レースコントロールはレースの再開をしないことを発表し、再開されたレースの1周目終了時点の順位が今レースの結果となった。クラッシュに巻き込まれた6人全員の意識はあり、うち3人が病院に運ばれたが命に別状はない。

 ルターがマカオで通算9度目の優勝を飾り、BMW S1000RRを駆りレースの大半をリードしていたヒックマンが2位、ドゥカティ パニガーレV4 Rsで戦ったデイビッド・ジョンソンが3位を獲得しトップ3が異なるメーカーのバイクとなった。

ピーター・ヒックマン(MGM by Bathams)
優勝したマイケル・ルター(中)、2位のピーターヒック・マン(左)、3位のデイビッド・ジョンソン(右)

■第66回マカオグランプリ 第53回モーターサイクルグランプリ決勝順位結果

Pos. No. Rider Team Motorcycle Time/Gap

1 8 マイケル・ルター MGM by Bathams ホンダRC213V-S 2’31.724

2 88 ピーター・ヒックマン MGM by Bathams BMW S1000RR 0.298

3 20 デイビッド・ジョンソン Tak Chun Group by PBM Ducati ドゥカティ パニガーレV4 Rs 0.861

4 74 デイビー・トッド MGM by Penz13 Penz BMW S1000RR 1.553

5 13 リー・ジョンストン Ashcourt Racing BMW S1000RR 1.937

6 9 イアン・ハッチンソン Team Milwaukee with SMT BMW S1000RR 2.249

7 40 ホースト・サイガー Saiger Racing ヤマハYZF-R1 2.461

8 7 ゲイリー・ジョンソン Ashcourt Racing BMW HP4 Carbon 3.682

9 38 エルネー・コスタモ MGM by Penz13 BMW S1000RR 4.083

10 82 デレク・シェイルズ Burrows Engineering / RK Racing スズキGSX-R1000 4.346

11 65 マイケル・スウィーニー Martin Jones Racing BMW S1000RR 4.678

12 71 フィリップ・クロウ Handtrans – Lee Jackson- AC BMW S1000RR 5.712

13 26 ディディエ・グラム G&G Motorsport BMW S1000RR 6.099

14 2 クレイグ・ニーブ Callmac Scaffolding Racing BMW S1000RR 7.228

15 182 チャビエル・デニス Optimark by performanX ホンダCBR1000RR 9.075

16 54 スティーブ・ヘネガン Reactive Parts ドゥカティ パニガーレV4 Rs 9.172

17 111 ブライアン・マコーマック ON-1 Racing BMW S1000RR 9.992

18 22 ポール・ジョーダン Dafabet Devitt Racing カワサキZX-10RR 10.513

19 62 サムエル・ウェスト  PRL BMW S1000RR 10.900

20 11 ドミニク・ハーバートソン Dafabet Devitt Racing カワサキZX-10RR 11.597

21 17 ダニエル・クルーガー MGM by Penz13 BMW S1000RR 11.827

22 3 デイビッド・モルガン DM71 BMW S1000RR 12.781

23 49 ラウル・トラス Torras Racing Team カワサキZX-10RR 14.028

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