人と違う視点を見つける 人気著作家・能町みね子さんが語る学生時代と仕事論

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雑誌やウェブサイトに多くの連載を持ち、ラジオやテレビにも出演するなど、多方面で活躍する文筆家・漫画家の能町みね子さんは東大の卒業生。独自の視点から社会を鋭い目で見つめる能町さんに、駒場祭を含む学生時代の思い出や現在の仕事、東大生に対する印象などについて聞いた。

(取材・大西健太郎 撮影・小田泰成)

能町 みね子(のうまち みねこ)さん(文筆家・漫画家)2001年教養学部卒。文筆家・漫画家。近年はテレビやラジオでも活躍。好角家としても知られる。『お家賃ですけど』(文春文庫)や『ほじくりストリートビュー』(交通新聞社)など著作多数。

成り行き任せの半生

どのような経緯で、東大受験を志したのですか

こう言うと反感を買ってしまうかもしれませんが、単純に高校の先生に行けるんじゃないのって言われたからですね。東大に行けるって言われたら、ちょっと行ってみたいよなって。

後期課程に進学後は、教養学部で地理学を専攻します

たまたま進学振分け(当時)の点数が高かったのと、小さい頃から地図が好きだったので、後期教養学部の広域科学科人文地理分科(当時)を選びました。ただ入ってみたら経済系の科目が多くて。自分がやりたかったことと違っていて授業がつまらなかったんです。せめて卒論は自分が本当に好きなことをやろうと思い、ほとんど教授に頼らず、授業内容と全く関係ないことに取り組みました。卒論が一番の思い出です。

授業外ではどのような活動をしていましたか

卒論でも扱うくらい地図が好きだったので、地図を見ていて気になった場所を友達同士で散歩しに行っていましたね。サークルは音楽系に所属していたので、駒場祭ではコピーバンドをやりました。最初はドラムだったのですが、ボーカルもやりたくなって。当時から持ちネタだったCHARAの曲を歌いました。楽しかったですけど、今思えば人に見せられるものではなかったですね(笑)。

大学卒業後、出版社に就職します

大学院への進学も考えましたが、昔から長い本を読むのがすごく苦手だったので、論文も読めないだろうということで諦めて就職することにしました。

かといって会社勤めにも興味がなかったので、周りは100社とか受けている中で、私は3社だけ受けたんですよ。そうしたらなぜか出版社に1社受かっちゃったので、しょうがないかということで入社しました。結局11カ月で退職しちゃったんですけど。その後フリーターを1年やって、デザイン系の専門学校に夜間で入りました。途中から日中はOLとして働き始めました。

OLをしながら、ブログを始めます。きっかけは何でしょうか

2000年代前半当時はブログの内容をまとめて出版するのがブームだったんです。それで、こう言うのはなんですが「こんなので本になるんだったら自分もできる」と思ったんです。そこで本を出して稼ぎたかった、というのがブログを始めた正直な理由です。結果としてはブログ開設から1年たたずに本を出版できました。

ブログを元にしたデビュー作を加筆修正した『オカマだけどOLやってます。完全版』文春文庫、税込み770円

その後どのようにして現在のように活躍の場を広げたのですか

仲良くしていた漫画家の久保ミツロウさんにある時「オールナイトニッポンのオーディションを受けよう」と言われて。半分冗談だと思ったんですけど、受けたらラジオに出られることになっちゃったんです。そこからテレビにも出るようになりました。最初はあまりテレビなどに顔を出す気はなかったのですが、本当に成り行き任せですね。

今の東大生にびっくり

能町さんの文章の魅力である独自の着眼点・ものの見方はどのようにして磨かれたのでしょうか

特に努力して磨こうとしたわけではないですけど、ニュースとかを見るたびに「当たり前のことを言わないようにしよう」というのはずっと思っていますね。例えば残酷な事件があったとき、被害者への同情や犯人に対する憎しみとかは一通りありますけど、そういう当たり前の感想しか持てないんですよね。そうではなく、意見が分かれそうな話題について、あまり人が言っていないことをなるべく探そうと思っています。

現在のお仕事のやりがいや苦労を教えてください

文章を考えるのが嫌になることは頻繁にあるんですよ(笑)。文章を書くことに飽きて、どこかに行きたい、暇になりたいと思う。ただどこか行った先で何がしたいかというと、いい景色でも眺めて日記でも書きたいなんて思ってしまう。要は書くことが好きなんでしょうね。やりがいと言えるかは分かりませんが。

市井の人々を類型化することを得意とされていますが、東大生を分析するとどうなるでしょうか

私が卒業してからすでに20年以上たってますが、当時はダサかったですね。単純に見た目の問題もあるんですけど、やっぱりあか抜けない感じがありましたね。

あと当時は今よりも東大に対する権威的なイメージが強くて「東大生です」と言うのがはばかられる風潮がありました。でも最近の東大生は「UT」なんて言ってるんですね。そもそも昔はそんな言い方すらなかったんですけど、びっくりしました。普通に誇ってるんだ、みたいな。

最後に、在学生に向けて一言お願いします

もっと大学の外で遊ぶことは大事かもしれませんね。私自身はちゃんと大学に行って授業を受けていた方なのですが、もう少し大学の外にも目を向けて視野を広げておきたかったと思います。当時は調布に住んでいたのですが、もっと都心に住んで楽しんでおけば良かったなと思いますね。