【野球】15年ぶりの決勝進出!黄金世代最高のフィナーレへ 第五十回記念 明治神宮大会 準決勝 城西国際大戦

11月19日(火) 第五十回記念 明治神宮大会 準決勝 城西国際大戦

2本の適時二塁打を放った瀬戸西

日本一へ、あと1勝だ。準決勝に臨んだ慶大は千葉県大学野球リーグの城西国際大と対戦。慶大は中村健人(環4・中京大中京)の先頭打者本塁打で先制すると、その後も瀬戸西純(政3・慶應)の2本の適時二塁打などで順調に得点を重ねる。それに応えるように投手陣も、先発の木澤尚文(商3・慶應)が5回までを1失点に抑え、その後は盤石のリリーフ陣が無失点リレーを披露した。6―1で快勝を収めた慶大が決勝進出を決めた。

城西国際大	0	0	0	1	0	0	0	0	0	1
慶大	1	1	0	0	0	1	3	0	X	6

城西国際大バッテリー:●舘、中島、宮﨑、島袋―梅田

慶大バッテリー:○木澤、増居、津留﨑、髙橋佑、石井―郡司

慶大本塁打:中村健1号ソロ(1回)

◆慶大出場選手


初戦でコールド勝利を収めた慶大は1日を空けて準決勝に臨んだ。対戦する城西国際大は今季、千葉県大学野球秋季リーグ戦で初の春秋連覇を達成。そして、秋はその勢いそのままに明治神宮大会出場権を争う大会でも優勝を果たした。そんな強豪校相手に慶大は東京六大学リーグ王者の強さを見せられるか、注目が集まる一戦となった。

慶大は1回裏、1番・中村健が「塁に出ることだけを考えていました」と、振りぬいた打球は左翼スタンドへ飛び込む先頭打者本塁打となり先制に成功。続く2回裏には8番・瀬戸西の右翼線への適時二塁打で追加点を挙げ、序盤は慶大ペースで試合が進む。

中村健の1発が飛び出した

慶大の先発は秋季リーグ早大2回戦で好リリーフを見せた木澤。「リリーフのつもりで、1球1球勝負といった意気込みで」と試合後話したように、立ち上がりから最速151キロの直球と鋭い変化球を武器に、3回まで無失点の投球を見せる。

今春早大2回戦以来の先発起用となった木澤

再び試合が動いたのは4回表。先頭打者に安打で出塁を許すと、2つのバッテリーエラーで2死三塁のピンチを招く。悪い流れを断ち切りたい木澤だったが、左翼手の頭上を大きく超える適時二塁打を浴び、1点を返される。取り返したい打線だったが3回以降、城西国際大先発・舘のテンポの良い投球の前に無安打に抑えられ、なかなか追加点が奪えない。

流れをつかみたい慶大は6回裏、先頭の中村健が安打で出塁すると、下山悠介(商1・慶應)がきっちり送り1死二塁の好機を作る。続く3番・柳町が「センター返しという意識で」と、2球目の直球を中前にはじき返し理想的な形で追加点を挙げる。勢いに乗る慶大は7回裏に、8番・瀬戸西が今度は左中間を破る適時二塁打を放ちもう1点を追加。その後も申告敬遠と失策で2点を追加し、点差を5点に広げる。

柳町が今日も打点をあげた

打線の奮闘に応えるように、投手陣も圧巻のリレーを見せた。木澤からバトンを受けた増居翔太(総1・彦根東)、津留﨑大成(商4・慶應)、髙橋佑樹(環4・川越東)、石井雄也(商4・慶應志木)が味方の好守もあり無失点リレーを披露。4回の1点のみに城西国際大打線を封じ込め、慶大が決勝進出を決めた。

強い慶大。まさにその強さが垣間見える試合だった。中村健の本塁打で先制点を挙げ、その後も盤石な投手陣が相手に逆転を許さず、瀬戸西の2本の適時二塁打などで点差を広げた。守備でも随所に好プレーが見られ、相手に一瞬の隙も見せなかった。

見事な試合運びで決勝進出を決めた慶大。決勝の相手はタイブレークの末に東海大を破った関西大だ。「やっとそこ(決勝)に立てたというのは嬉しいです」と試合後、大久保監督は笑顔を見せて語った。ここまでの慶大監督生活の中で、明治神宮大会の決勝の舞台は初めて。今季で慶大のユニフォームを脱ぐことを決めているだけに、最後は有終の美を飾りたい。選手も「なんとしても監督を胴上げしたい」(郡司)、「監督を胴上げするというのを目標にやってきた」(柳町)と語ったように、まさにチームの心は日本一に向けて一つとなっている。いざ、決勝の舞台へ。明日の試合後、マウンドに歓喜の輪が広がり、大久保監督が宙に舞う姿を楽しみにしたい。

(記事:菊池輝、写真:小嶋華、小林歩、左近美月)

◆打撃成績

1	[9]	中村健人(環4・中京大中京)
2	[5]	下山悠介(商1・慶應)
3	[8]7	柳町達(商4・慶應)
4	[2]	郡司裕也(環4・仙台育英)
5	[7]	正木智也(政2・慶應)
8	渡部遼人(環2・桐光学園)
6	[4]	小原和樹(環4・盛岡三)
7	[3]	綿引達也(商2・慶應)
8	[6]	瀬戸西純(政3・慶應)
9	[1]	木澤尚文(商3・慶應)
H	山崎隼人(商4・慶應)
1	増居翔太(総1・彦根東)
1	津留﨑大成(商4・慶應)
H	福井章吾(環2・大阪桐蔭)
1	髙橋佑樹(環4・川越東)
1	石井雄也(商4・慶應志木)

◆投手成績

1	[9]	中村健	左本①	捕邪飛	中安	申告敬遠
2	[5]	下山	中飛	二失	投犠打	遊失
3	[8]7	柳町	四球	併殺打	中安①	空三振
4	[2]	郡司	二飛	三ゴロ	右飛	右飛
5	[7]	正木	四球	三邪飛	一邪飛
8	渡部遼	捕安
6	[4]	小原	投犠打	三直	三安	投直
7	[3]	綿引	遊飛	遊飛	投犠打
8	[6]	瀬戸西	右2①	三邪飛	左中2①
9	[1]	木澤	右飛
H	山崎	遊飛
1	増居
1	津留﨑
H	福井	空三振
1	髙橋佑
1	石井

◆監督・選手コメント(囲み取材より抜粋)

大久保秀昭監督

――今日は木澤選手を先発に起用しました

状態が非常に良かったので。

――投手交代のタイミングについては

1人で頑張ってくれたら良かったんですけど、あの緊張感の中ですしボールが少し落ちてきたなと感じました。先のことを考えずに出し惜しみをせずにこの準決勝をしっかり勝たなきゃいけないと思いました。

――試合のプランは

強気に言えば、投手に関しては力を出してくれれば1点には収まる。2点くらいは仕方がないかなというイメージでした。打線の方は相手が二枚看板で簡単じゃないというのはあったので3点くらい取れたら良いなという感じでした。

――「胴上げしたい」という選手の声も多いですが

そんなことを言ってくれてありがたいですけど、胴上げされ慣れているから(笑)。そういうことを言ってくれているのは非常に嬉しいですし、彼らが喜ぶ顔を見たいです。郡司を日本一のキャプテンにしたいという気持ちもあります、森下だけじゃないんだぞということですね(笑)。

――決勝の舞台については

リーグ戦優勝、ワセダに勝って日本一という3つを掲げてやってきて、リーグ戦優勝、ワセダを勝つことはできたりできなかったりだったんですけど、日本一というのはその土俵に立てなかった。やっとそこに立てたというのは嬉しいです。

――どのような準備をしますか

トーナメントで片方のチームだけ準備をするというわけにもいかないので、決まったところでしっかり準備をしていきます。

郡司裕也主将(環4・仙台育英)

――今日の試合の流れとしては

先制してから中盤なかなか攻められずにいたのですが、瀬戸西のタイムリーから段々と流れが出てきたかなと思います。

――打線の対策は

ホームラン1発っていうバッターがたくさんいるわけではないのですが、(ボールが)見えている好打者が多かったので、打ち取るのは難しい打線でした。

――細かいデータがない相手に対して配球面で心がけたことは

自分の目を大事にして配球を組み立てました。データがなかったわけではなかったので、データも参考に配球もしました。

――あと1試合となりました

秋のリーグが始まる前から日本一になるというのは口に出してきたことなので、なんとしても監督を胴上げしたいという思いです。

柳町達副将(商4・慶應)

――6回裏に適時打を放ちました

前の打席に泳がされてゲッツーになってしまったので、しっかり残してセンター返しという意識で打ったのがいい結果につながったと思います。

――打ったのはストレートですか

たぶんそうだと思います。

――日本一まであと1勝となりました

あと1勝で日本一ですけど、試合の中でやることは変わらず、1つずつアウトを積み重ねていくことが勝ちにつながると思います。

――全国大会通算3度目の出場ですが、意識していることはありますか

知らない投手が多くいるのでストライクゾーンをしっかり振るというシンプルな考えを徹底できているからではないかと思います。

――日本一になるのは19年ぶりです

日本一を目指してやってきたので、あと1つ勝つのが難しいとは思いますがチャレンジできればなと思います。そして楽しみながらやっていけたらいいなと思います。

――大久保監督最後のシーズンです

監督を胴上げするというのを目標にやってきたので、それを達成できるように明日しっかりやっていきたいなと思います。

津留﨑大成(商4・慶應)

――今日の試合を振り返って

前回のピッチングよりは修正できるところは修正できたかなと思います。ここまできたら自分の技術というよりは相手の打者に向かって一球一球気持ちを込めて投げていくだけだと思うので、打たれる打たれない関係なく、それを明日も忘れずにいきたいです。

――明日にむけて一言

まだ大久保監督を胴上げできていないので最後出し切って監督を胴上げしたいです。

瀬戸西純(政3・慶應)

――今日の打撃を振り返って

うちのチームには上位打線に頼りになる打者がたくさんいるので、下位の僕はすごい気楽に打たせて頂いているのが良い結果につながったかなと思います。

――2回裏のタイムリーを振り返って

あの打席は同期の木澤が先発ってことでここでもう一点取って楽に投げさせてあげたい気持ちがあって、チャンスで回ってきたのでこのまま良い流れで上位打線につなげたいなって思いで打席に入った結果が長打になったので良かったです。

――打ったボールは

スライダーです。変化球も頭に入れながらまっすぐ合わせて、ちょっと甘く入ったスライダーに上手く反応できたので良かったです。

――8回裏にも適時打を放ちました

僅差の展開でこの展開は慶應得意だって声もかかっていたんですけど、その中で次の一点その次の一点を取ったほうが優位になるってことで、小原さんと綿引がチャンス作ってくれて良い流れだと思って打席入れた感じです。

――全国の舞台はいかがですか

神宮球場でやれるのが六大学の強みだっていうのはみんな自覚していて、変な緊張感っていうのもなく、普段通りのプレーができているのが初戦準決勝って良い形で勝てている要因の一つかなと思います。

――3年が活躍しました

そうですね、普段他の学年におんぶにだっこが多いので、今日は3年生で優位に試合を進められたっていうのは良かったです。

――ここまでチームは好調です

一昨日今日とうまく行き過ぎている面が多いと思うので、どんなに良くない展開だとしても焦らず自分たちのできることをやっていけば自ずと勝ちっていうのは付いてくると思うので、一つ一つ冷静に、熱くなるところはあると思うんですけど頭は冷静にしっかりプレーしていきたいと思います。

――綿引選手は高校時代から一緒にプレーされていますが、スタメン出場に際して何か声かけはされましたか

すごい緊張しているなっていうのを感じて、僕も1年秋の神宮大会がデビューだったのでその経験っていうのもあるので、緊張しながらも思い切ってやれよってことを声かけました。

木澤尚文(商3・慶應)

――今日は先発に起用されました

今日も含めてなのですが、(これまで)自分を使ってくださっているなというのは感じていましたし、大久保監督のチームで投げられる機会と少なくなってきたので監督のためにという思いがもちろんありました。

――初回から飛ばしていましたか

今季先発が初めてだったのですが、リリーフのつもりで1球1球勝負といった意気込みで投げていました。

――明日に向けて

明日に懸ける思いはめちゃくちゃあるのですが、その中で特別やることもなくて、総力戦になると思うので頑張ります。

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