「明治中期の長崎写真展」 長崎市歴史民俗資料館 12月8日まで

十人町から出島を望んだ写真(長崎市歴史民俗資料館提供)

 明治20(1887)年代ごろに長崎で撮影されて外国人向けに販売された風景写真を紹介する企画展「明治中期の長崎写真展」が、長崎市平野町の市歴史民俗資料館で開かれている。外国人居留地のあった大浦地区などの古写真30枚が、往時の長崎の街並みをしのばせる。12月8日まで。
 展示されているのは、ドイツのアンジェラ・グラヴァさんが自宅で所有していた写真。今夏、市に寄贈した。
 永松実学芸員によると、幕末から明治にかけ、各地の名所や居留地などで撮影し、色付けをした写真が外国人らの土産品として人気を集めた。主に横浜で売られたことから「横浜写真」とも呼ばれていた。
 会場には、洋館が立ち並ぶ大浦地区や出島、諏訪神社などの古写真とともに、同じ場所で撮影した現在の写真も一緒に展示しており、様変わりした街並みを楽しめる。
 永松学芸員は「貴重な写真が埋もれることなく、120年の歳月を経て撮影地の長崎に帰ってきたのは感慨深い。多くの市民に見てもらいたい」と話している。
 会場では、大正時代に作られた手彩色の絵はがきや、明治20年ごろに上野彦馬が風頭から市街地を撮影したパノラマ写真なども合わせて展示している。
 入館無料、月曜休館。

古写真が展示された会場=長崎市歴史民俗資料館
出島から大浦海岸を望んだ写真。大浦天主堂などが見える(長崎市歴史民俗資料館提供)

© 株式会社長崎新聞社