「赤べこ」が平和の使者に シリアの子ども制作 震災復興願い、柳津に届く

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シリアの子どもたちが制作した赤べこを矢部副町長(左)に届けた(左から2人目から)佐藤さん、青山さん、木戸さん

 紛争で古里を追われたシリアの子どもたちが東京電力福島第一原発事故からの福島県早期復興や世界平和への願いを込めたオリジナルの赤べこを自作し、十九日に赤べこ発祥の地とされる柳津町に届けた。赤べこには「一緒に平和の交響曲を奏でよう」とのメッセージが記されている。会津を代表する民芸品が、八千キロ離れた福島と中東の人々の思いをつなぐ。

 今回、赤べこを作ったのは、シリアの首都ダマスカスの子どもたちおよそ百人。中東で小児がん患者らへの医療支援を続けてきた佐藤真紀さんらが持参した赤べこを手本に、自発的に制作したという。紙やプラスチックを材料に形作りから絵付けまで取り組み、それぞれの願いを書き込んだ。

 戦禍の影響で、美術や工作にじっくりと取り組む余裕のない子どももいる。佐藤さんは「子どもたちは目を輝かせながら手を動かしていた。心から楽しかったのだろう」と想像する。

 佐藤さんは原発事故翌年の二〇一二(平成二十四)年、福島市にアパートを借りて復興支援活動をしていた際、赤べこのかわいらしさが好きになった。

 「中東の子どもたちに届けたらきっと喜んでくれる」。後日、現地の病院に持っていくと、赤べこの首がゆらゆらと動く様子に思わず子どもたちの頬が緩んだ。

 佐藤さんと、一緒に活動を続けている東京外語大教授の青山弘之さん、同大大学院生の木戸康平さんは十九日に柳津町役場を訪れ、赤べこを矢部良一副町長に託した。同町は二〇二一(令和三)、二〇二二年の二年間、赤べこにちなんだ「丑寅まつり」を開催する。矢部副町長は丑寅まつりに、中東との交流を紹介する企画を盛り込むよう検討する考えを示した。

 佐藤さんは「原発事故が起きた福島も、紛争が続く中東も人々が苦境に立たされている。赤べこが両者の心をつなぐ橋渡し役になればうれしい」と期待している。