藻食魚 イスズミメンチでグランプリ 「第7回Fish-1」コンテスト 対馬・丸徳水産の犬束さん夫妻 「食べる磯焼け対策に」

グランプリのトロフィーと「そう介メンチカツ」を手にしたゆかりさん(いずれも一般社団法人MIT提供)

 長崎県対馬市美津島町で水産加工業「丸徳水産」を営む犬束(いぬづか)徳弘さん(54)、ゆかりさん(54)夫妻が、東京で17日にあった「第7回Fish-1グランプリ」の国産魚ファストフィッシュ商品コンテスト部門で、本県初のグランプリを受賞した。磯焼けの原因とされ、独特の磯臭さがあるため市場にほとんど出回らない藻食魚イスズミを、うま味たっぷりのメンチカツ風に仕上げて最高評価を獲得。犬束さん夫妻は「食べる磯焼け対策として、全国に普及させたい」と意気込んでいる。
 同グランプリは国産水産物流通促進センター(東京)主催。コンテストは手軽においしく食べられる水産加工品が対象で、30団体がエントリーした。
 イスズミはスズキ目で、本州中南部以南の岩礁域に生息。犬束さん夫妻は、これをミンチにしてタマネギなど練り込んで揚げた「メンチカツ」を出品。最終審査の5団体に選ばれた。日比谷公園であった審査では一般来場者5千人と、さかなクンら6人の審査委員による試食があり、最高得票数(票数非公表)を集めた。
 犬束さん夫妻は、2002年に徳弘さんが素潜りで採ってきたヒジキやウニなどを加工する丸徳水産を開業した。15年ごろから磯焼け対策としてイスズミ料理の研究を開始。鮮度管理法や、臭いのもととなる内臓・血合いを取り除くさばき方を確立した。
 丸徳水産では、駆除して食べることで「海そう(藻)を増やす」「そう(創)意工夫でおいしいそう(惣)菜へ変わる」などの思いを込め、イスズミを「そう介(すけ)」と名付け、普及を図るプロジェクトを今年から展開している。
 徳弘さんは「ジューシーでおいしいと、『そう介のメンチカツ』のリピーターになってくれた方も多かった」と振り返る。ゆかりさんは「イスズミを取ってくれた対馬の漁業者や、販売戦略を考えてくれた皆さんの賞です」とにこやかに話した。

冷凍したイスズミを手に呼び込みをする徳弘さん=東京、日比谷公園

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