今泉佑唯、明るい笑顔の奥に「先のことを考えたくないくらい不安」と本音も 「左ききのエレン」インタビュー

今泉佑唯、明るい笑顔の奥に「先のことを考えたくないくらい不安」と本音も 「左ききのエレン」インタビュー

理不尽な容赦ない現代社会で、“何者か”になることを夢見ながら大手広告代理店で働くデザイナーと、天才ゆえの苦悩と孤独を抱えながらニューヨークで活動する画家という2人の若者を中心に、「本当の自分」を見つけるまでをリアルに描き出す青春群像劇「左ききのエレン」(MBS/TBSドラマイズム)。

主演の神尾楓珠さん演じるデザイナー・朝倉光一と同じ部署で働く後輩で、若くして才能があるコピーライター・三橋由利奈を演じる今泉佑唯さん。昨年11月に欅坂46を卒業後、映画やドラマ、舞台と活躍の場を広げ、今クールは2本の連続ドラマに出演しています。そんな躍進する自身の状況をどのように見つめているか――このたび、お話を伺いました。

■監督からは「作り込みすぎず」

──「左ききのエレン」では光一のことをやや見下している、才能のある若手コピーライター・三橋由利奈という役を演じていらっしゃいますが、出演が決まっていかがでしたか?

「『○○っすよね』という口調で、女の子感があるわけではない役なのでそこは意識しました。ほかの作品を参考にしてしまうとまねしちゃいそうだなって思ったので、自分の中で正解を探しながら演じたんですけど、監督から『作り込みすぎず』とアドバイスをいただいて。逆に意識しすぎるとダメだなと思って、修正するところがあればその場で教えてくださるので、そこは甘えました♡」

──撮影中、印象的だったシーンはありますか?

「英語がすごく苦手なんですけど、しゃべらなきゃいけないシーンがあって、すごく苦戦しました。(英語を話す方からの)電話を受けて『光一さん! お電話です!』ってつなぐシーンだったんですけど、苦手なワンフレーズがあって…。代わりに誰か言ってくれないかなって思ったくらい発音できなかったです」

──長ゼリフだったんですか?

「結構短めです(笑)。でも私にとっては5行分くらいしゃべっている感覚で、難しかったです。棒読みでした(笑)。ドラマの終盤で放送されると思うんですけど、怖い! 見れない~(笑)。あんまりやり直しすることがなかったんですよ。だから逆に不安になって。たぶん諦められてるんだろうな…って(笑)」

──お話を聞いていると、楽しい現場だったことが伝わってきます。

「楽しかったです! スタッフさんがずっと笑っていたので、それを見て私も笑ってました。何が面白いかはまったく分からないんですけど(笑)。にぎやかでした」

■自分で自分を苦しめていた時期を抜け出して

──本作は「“何者か”になりたい」という葛藤を抱き、もがきながらも突き進む光一と、天才ゆえの苦悩と孤独を抱えるエレンという2人の主人公が登場しますが、今泉さんは似たような思いをしたことはありますか?

「どちらかといえば、私は光一さんタイプです。自分のことを天才だと思ったことが本当に一度もないんですよ。むしろ天才になりたくて、むずむずしてるタイプです」

──グループに属している時から、そのような思いは抱いていたのですか?

「昔からずっと負けず嫌いだったので、『この人と自分は、何がどう違うんだろう』って考えているタイプでした。今はそういう気持ちはなくなったんですけど、『天才になりたいなぁ』とか、『何でもできる人間になりたい』っていうのは、小学校くらいの時からずっと思っていました」

──自分に対して、理想を持っていらっしゃるのですね。

「そうなんですよ。絶対に手が届かないような、すごく高い目標を立てちゃうんです。だから自分で自分を苦しめてたし、誰かと自分を比較して落ち込んだりもしてたので、そういうのに疲れて…。それからは、そういう考えにならないように意識するようになりました。だから台本を読んで、『こういう時、自分にもあったな』ってぐっときました」

──光一に共感する部分がありながら、同じ部署で光一の側で働く役を演じる中で、心情的に難しかったところはありましたか?

「みっちゃんは光一さんのことを下に見つつ、助けてあげたりもするので、そこのメリハリが難しいなと思いました。優しく寄り添いたくなっちゃうところを、『なんでそんなこともできないんですか?』って突き放したり…」

──今泉さんは、自分が悩んだ時はどういう声をかけてもらいたいですか? もしくは放っておいてほしいタイプですか?

「放っておいてほしくはないですね。でもだからといって寄り添ってほしいわけでもなく…。一緒にごはんを食べに行ったらちょっと気持ちが晴れるタイプなので、全然関係ない話で気を紛らわしたいです。悩みを話し出すと止まらなくなっちゃう(笑)」

■「この状況が今だけかもしれない」という不安

──グループを卒業後、着実に映像作品へのご出演と経験を重ねていらっしゃると感じています。ご自身では今の状況をどのように捉えていますか?

「いろんな作品に出演させていただけてうれしいですし、ありがたい気持ちでいっぱいなんですけど、この状況がもしかしたら今だけかもしれないなって。あまり先のことを考えたくないくらい不安です」

──その不安は、グループに属している時には抱かなかった感情ですか?

「そうですね。1年前の自分は、卒業後の自分がどうなってるかが全然想像できなかったんです。こんなにいろんな作品に出演させていただけるなんて思っていなかったので…」

──今後、楽しみと不安、両方あるのかなと思うのですが、どちらが大きいですか?

「不安~! 不安を超えて恐怖です。いつマネジャーさんたちに見捨てられるか…って思いながら毎日生活してるので…(笑)。本当に気を抜いちゃだめだなって感じるようになりました。一つ一つのお仕事の大切さやありがたみを、最近すごく肌で感じています」

──お話を聞いていて、今泉さんから「不安」という言葉がこんなに出てくるのが意外でした。不安を抱えていながらも、いつもこちらまで元気になるような明るい振る舞いだと感じています。

「本当ですか? やったー!」

──胸の内ではいろんな思いを抱えながらも、明るく振る舞える秘訣はあるのでしょうか?

「私、人と話すことが本当に好きなんですよ! 皆さんの笑顔を見ているのが一番のストレス発散なんです。たまに、現場でちょっとピリピリする時があるじゃないですか。そういう時は『どうやって人を笑わせたらいいんだろう』って考えます!」

──現場のムードメーカーですね。

「ムードメーカーになりたい! でも、基本的にずっとこんな感じでへらへらしてるかもしれないです(笑)」

──お芝居やグラビアのお仕事でうれしい発表が続いていますが、SNSではファンの方からの「歌を歌ってほしい」という声もたくさん目にしました。

「今は歌についてはそんなに考えていないのが正直なところです。お芝居がすごく好きで楽しいので、もっともっとやっていけたらいいなと思っていて。今は、演技の道を突き詰めていきたいです」

■今泉佑唯の「○○の秋!」

◇音楽の秋
「西野カナさんが大好きです♡ 毎日聴いています。今の自分の気持ちに合っているのは『Always』。曲調も好きですし、歌詞も大切な人に向けた歌なので、感謝を伝えたい気持ちの時によく聴いています」

◇芸術の秋
「最近、ファンクラブができたんです。そのオリジナルのグッズを考えたい願望があります! 自分が描いた絵のスマホケースとかタオルを作りたいんですけど、絵がヘンテコすぎて…(笑)。もうちょっと絵がうまくなりたい!」

◇食欲の秋
「お肉が本当に大好きなんです~! (声を大にして)毎日お肉食べたいし、死ぬ時は自分の横にたれをひったひたにした赤身肉を置いてほしいくらい大好きです♡ いっぱいお肉食べたい~! でも、カルビは食べられなくなってきました。結構、脂身が胃にグンってくるんです。ホルモンもタンも大好きなんですけど、一番はロースが好き! 塩よりもたれ! たれ最高!!(笑)」

◇スポーツの秋
「最近、ゴルフ始めたんです! 今初めて言いました(笑)。誰かに影響されたとかではなくて、私たぶんゴルフ苦手なんですよ。でも『21歳は苦手なことに挑戦していこう』っていうちっちゃい目標を立てているので、絶対に苦手であろうゴルフを始めることにしました。しかもくびれもできそうじゃないですか? 一石二鳥だなって思って(笑)。いつかコースを回りた~い!」

【プロフィール】


今泉佑唯(いまいずみ ゆい)
1998年9月30日生まれ。神奈川県出身。てんびん座。O型。2015年、欅坂46の1期生オーデイションに合格。18年11月にグループを卒業。主な出演作は、ドラマ「恋のツキ」「ミリオンジョー」(ともにテレビ東京ほか)、舞台「熱海殺人事件 LAST GENERATION 46」など。雑誌「ar」(主婦と生活社)のレギュラーモデルとしても活躍中。20年には映画「転がるビー玉」「酔うと化け物になる父がつらい」が公開予定。20年3月より上演の舞台「あずみ~戦国編~」では主演を務める。

【番組情報】


「左ききのエレン」
MBS 日曜 深夜0:50~1:20
TBS 火曜 深夜1:28~1:58
※放送時間は変更の場合あり
※他、IBC、TUY、RSKなど、全国各局で放送中

<配信情報>U-NEXTで10月22日深夜2:00から独占配信。TVer、MBS動画イズムで見逃し配信予定。

取材・文/宮下毬菜(TBS・MBS担当) 撮影/蓮尾美智子

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