アストンマーティン、ブランド初のSUV『DBX』発表。106年の歴史で開いた新たな領域

 アストンマーティンは2019年11月20日、106年の歴史のなかで初となるフルサイズ5人乗りSUV『DBX』を発表した。同ブランドでもっとも幅広いデザイン・エレメントを採用した美しく贅沢なSUVだ。

 DBXのボディサイズは、全長5039mm、全幅1998mm、全高1680mm、ホイールベース3060mmで、アストンマーティンがSUVモデル専用に設計した新しいプラットフォームを土台とし、ほかのDBシリーズと同様に強度と剛性だけでなく超軽量を実現する接合アルミニウムでつくられている。そのためボディ剛性が優れており、オンロードとオフロードの両方でダイナミックなパフォーマンスを発揮する。

 また、最大限のキャビンスペースを確保することを主軸に設計されていることから、前後席ともにクラストップの広々とした室内空間を確保した。

アストンマーティンDBX(エクステリア・フロント)
アストンマーティンDBX(エクステリア・リヤ)

 アストンマーティン・ラゴンダ社長兼グループ最高経営責任者(CEO)のアンディ・パーマーはDBXの発表に際し、「アストンマーティンにとって、DBXがいかにエキサイティングで重要なクルマであるかを、とても言葉で語り尽くすことはできないでしょう」とコメント。

「開発面だけを見ても、この美しいSUVモデルは、アストンマーティンを新たな領域へと導き、その方向性を明確に示しています」

「これまでアストンマーティンを所有したことのない、多くの人々を魅了することになるでしょう。美しいスタイル、最高のクラフトマンシップ、そして高度なテクノロジーを備えたDBXは、アストンマーティンの誇りです」

 搭載されるエンジンは、クーペの『DB11』やスポーツモデルのヴァンテージと同じ4.0リッターV型8気筒ツインターボユニットを採用。最高出力550ps/6500rpm、最大トルク700Nm/2200~5000rpmで、0-100km/h加速が4.5秒、最高速度は291km/hに達している。

 トランスミッションは9速ATを採用し、アクティブ・セントラル・ディファレンシャルとエレクトリック・リヤ・リミテッドスリップ・ディファレンシャル(eデフ)を備えた4輪駆動システムだ。足まわりは、フロントがダブルウイッシュボーン、リヤにマルチリンクの構成となっている。

タイヤはピレリPゼロを奢る。フロント285/40YR22、リヤ325/35YR22

 また、アダプティブ・トリプルチャンバー・エアサスペンションを装備しているため、車高が最大45mm上昇、50mm下降させることが可能となり、あらゆる地形に対応できる。このシステムは走行時のメリットに加え、乗員の乗り降りや荷物の積載時などの実用シーンでも重宝する。

 DBXの外観はアストンマーティンのスポーツカーのエレガンスの要素をSUVに落とし込んだものだ。フロントエンドの象徴的な“DBグリル”から、彫刻的な曲面を描くサイドパネル、フィーチャー・ライン、ヴァンテージからの流れであるフリップ付きテールゲートに至るまで、ひと目でアストンマーティンとわかるデザインでまとめられている。

 キャビンは厳選されたメタル、ガラス、ウッドを各所に使用し、フルレングスのガラス・パノラマルーフとフレームレス・ドアガラスの組み合わせにより、明るく広々とした環境が整えられた。

 前席にはスポーツカーのシート・パッケージを採用。身体をしっかりとサポートしてくれるため、ロングドライブも快適にこなすことができる。また、シート地は長年のパートナーである『ブリッジ・オブ・ウィアー』社によるフルグレイン・レザーを用いる。ヘッドライニングと電動ルーフ・ブラインドにはアルカンターラ仕上げが施されおり、ヘッドルームを損なうことなく調和のとれたデザインと遮光性を両立している。

シート地は『ブリッジオブウィアー』社によるフルグレイン・レザーを使用

 インテリアの加飾にはモダンなウッドパネルや金属パネルなど、オーナーの好みに合わせてさまざまな組み合わせに変更することも可能。上質な亜麻と同じ植物から得られた新しい複合材は、カーボンファイバーの代わりに使用されて、アストンマーティン独自の世界観を表現している。

  ラゲッジルームの容量は632リットルを確保。後席は40:20:40の分割可倒式で荷物のサイズや量に対応して積載することができる。

DBXのインテリアは豪華絢爛。ウッドパネルや金属パネルなど、オーナーの好みに合わせて組み合わせを変更することもできる
アストンマーティンDBXのインパネまわり

 今回発表されたDBXには、デビュー記念の限定モデルとして500台の『1913パッケージ』も用意される。同パッケージは専用のフェンダーバッジや限定生産車であることを示す検査プレートを備え、同社CEOであるアンディ・パーマー自身による承認・検査を経てデリバリーされる。

 また、バイス・プレジデント兼チーフ・クリエイティブ・オフィサーのマレク・ライヒマンによる署名入りビルドブックやウォルドーフ・アストリアで行われるカクテルパーティーの招待状も贈られるという。

 DBXはイギリス・ウェールズに新設されたセント・アサン工場で生産される。希望小売価格はイギリスで15万8000ポンド(約2200万円)、ドイツは19万3500ユーロ(約2300万円)、アメリカでは18万9900ドル(約2060万円)から。この3地域ではすでに注文の受付がスタートしていて、納車は2020年第2四半期に開始される予定だ。なお、日本国内への導入時期や価格などは、現時点では未定となっている。

アストンマーティンDBX

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