鷹が招いた「ドライブライン」とは? 来日スタッフを直撃「真砂には凄い才能がある」

ソフトバンクの秋季キャンプに「ドライブライン・ベースボール」のスタッフが参加【写真:福谷佑介】

秋季キャンプで「ドライブライン・ベースボール」のスタッフを招いてのデータ測定と解析

 21日まで宮崎市内で行われているソフトバンクの秋季キャンプ。そこで今季、新たに取り入れられた試みが、アメリカのシアトルにあるトレーニング施設「ドライブライン・ベースボール」のスタッフを招いてのデータ測定と解析だった。室内練習場とブルペン内に専用機材が持ち込まれ、選手たちの様々なデータを取得。これをもとに選手個々の特徴や長所などのフィードバックが行われた。

 レッズのトレバー・バウアー投手ら多くのメジャーリーガーも通う「ドライブライン・ベースボール」。日本球界でもオフに施設を訪れてトレーニングする選手がいたり、球団が選手を派遣するケースは多い。果たして「ドライブライン・ベースボール」とはどんな施設なのか?

 今回ソフトバンクのキャンプに招かれているスタッフのうち、主に打者を担当しているタナー・ストーキー氏とコリン・ヘツラー氏を直撃し、話を聞いた。

 今回、ソフトバンクのキャンプに訪れることになった経緯について、コリン氏は「フロントの方がシアトルの施設に視察に訪れて、チームの助けになるかなと話をされ、それで来ることになったんだ」と語る。初めて見ることになったNPB球団のキャンプにタナー氏は「見ていて面白いよ。今まで経験したことのないものを見せてもらっている。キャンプとして組織され、効率的に時間が使われている。バッティング練習もケージを2つ使って無駄なくやっている」と感想を口にした。

「ドライブライン・ベースボール」とは一体、どんな施設なのか。この問いにタナー氏はこう答えた。

「バッターのサイドで言えば、たくさん打ってもらって、データをたくさん取り、それをしっかりと分析をする。打球の角度や打球の速度、どういう傾向があるのかを分析して、その選手に必要なものをアドバイスします。データによる打者の傾向を見て、なにが必要かをアドバイスします。それをもとにトレーニングをし、2、3週間後にまた計測し、どんどん積み上げていきます」

 モーションキャプチャーによる動作解析だったり、専用の機器によって、選手の動き、データを解析する。中には打撃動作で下半身、腰や腕がどこから動き出しているか、を測定できるものもある。下半身から生まれたパワーが腰、腕、そして手と効率的に繋がっているか、が分かり、中には腰より先に腕が動いてしまい、非効率的な動きになっている打者もいる。

真砂に興味深々「すごい才能があって可能性があると思う」

 コリン氏は語る。

「見ているのはバイオメカニクスだったり、どうバットの軌道、動きをしているのか、どういう方向に出ていくのかを見ている。それを見て、それぞれのバッターに適した打ち方をアドバイスしている。それぞれの選手によって体の動きは違う。みんながバリー・ボンズのように打てるわけではないので、選手によってこれが1番効率のいい動き方です、というのを分析して教えているんです」

 期間中に計測した選手の中で、目に付いた選手を聞くと、2人は真砂勇介外野手の名前を挙げた。タナー氏は「真砂だね。すごい才能があって可能性があると思う。あとは今宮、中村とか、若い選手でも可能性のある選手はいっぱいいるよ」と言う。

 期待されながらも、なかなか1軍の戦力となれず、苦戦している真砂だが、タナー氏は「真砂は凄く力はある」と語る。解析からのフィードバックとして「もっと一貫性のあるような、確実性を上げるような、打てるゾーンにバットを出していくように」とアドバイスを送ったという。

 投手陣でもそれぞれ測定が行われ、投手の担当者からも岩崎翔投手の名前が挙げられていた。ソフトバンクのキャンプで話題となった「ドライブライン・ベースボール」。決して特定の理論やフォームを教えるわけではなく、選手の特徴に合わせた指導をするトレーニング施設のようだ。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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