劣化進むバチカン原画 「二十六聖人図」 浦上キリシタン資料館の岩波氏、修復申し出

岡山聖虚が描いた「二十六聖人肖像画」(複製)の展示=長崎市西坂町、日本二十六聖人記念館

 バチカン美術館が所蔵する日本画家、岡山聖虚の「日本二十六聖人図」の経年劣化が進み、浦上キリシタン資料館(長崎市平和町)の岩波智代子館長(72)らは修復を申し出ている。ローマ法王フランシスコが24日に訪れる同市西坂町の日本二十六聖人記念館には複製が展示されており、岩波館長は、これを機に「パパ様にぜひ絵の存在を知ってもらって、承諾を得るきっかけになれば」と話す。
 「日本二十六聖人図」は、広島生まれで多くの聖画などを手掛けた岡山聖虚(1895~1977年)が15年がかりで制作。31年に当時の法王、ピオ11世に献上された。今年1月に原画の劣化を知った岩波さんは9月にバチカン美術館を訪問。絵はかなり傷んでおり、できるだけ早い修復が必要だと知った。約20年前にも現地で日本人が修復を試みたが、約3分の1にとどまったという。
 岩波館長らは、日本から職人を派遣し修復することも考えたが費用面から難しいと判断。絵を日本に持ち帰り修復ができないかをバチカン美術館側に相談し、原画の現状や修復にかかる費用などをまとめている。
 日本二十六聖人記念館長のドメニコ・ヴィタリ神父は「26聖人は単なるキリスト教の歴史だけではなく日本の大切な歴史。善悪をしっかり見極めて生きた殉教者から現代人も学ぶことが大事」と話す。展示は来年1月末までの予定。

© 株式会社長崎新聞社