第50回明治神宮野球大会最終日は20日、神宮球場で決勝が行われ、大学の部は慶大(東京六大学)が関大(関西1)に8-0で快勝し、19年ぶり4度目の頂点に立った。
「陸の王者」が相手を一歩も寄せ付けない完勝で19年ぶりの日本一をつかんだ。
一気呵成(かせい)の猛攻を加速させたのは2点リードの八回だ。先頭は昨年の慶応高主将・下山。初回にはチーム初安打で主砲郡司の2ランを呼び込んでいた2番打者は「もう柳町さんと最後なんだなと思うと『つなぐぞ』という一心だった」という。
今度は内野安打で出塁すると、東京六大学リーグ通算113安打を放ち、ソフトバンクから5位指名された柳町が中前打で続く。再び郡司がタイムリーで2打点を稼ぐと、なお2死二、三塁では「大学では高校時代憧れだった先輩(柳町)と過ごせる夢のような時間だった」という3年瀬戸西が中越えの2点三塁打で、優勝を決定付けた。
柳町にとっては三度目の正直だった。一昨年の神宮大会は初戦敗退、昨春の全日本選手権は4強で散った好打者は「何度チャンスを逃してきたんだろう」と全国の舞台は悔いばかりが残っていた。そのたびに「苦しい時期、苦しい練習を越えた先に喜びがある」と慶応高・上田誠前監督の言葉を思い出してきた。
そんな先輩に花道を用意したのは慶応高の後輩たちだ。今秋のリーグ戦では2年・右腕森田がベストナインに輝き、今大会は初戦で2年正木が適時打、準決勝では3年木沢が好投して勝ち上がってきた。
聖地の歴史に名を刻み、プロでも常勝軍団の一員として、さらなる進化を目指すヒットメーカーは歓喜の輪の中で「みんなで苦しい経験をしてきて最後に笑えた。これが僕のエンジョイです」と最高の笑顔だった。