楽天監督から鷹1軍コーチに就任 平石コーチの目指す姿と感じるホークスの違い

ソフトバンクの1軍打撃兼野手総合コーチに就任した平石洋介氏【写真:福谷佑介】

秋季キャンプで工藤監督とコミュニケーションを取り選手に声をかける平石コーチ

 21日まで宮崎市で行われているソフトバンクの秋季キャンプ。そのグラウンドで工藤公康監督と盛んにコミュニケーションを取り、選手に声をかける人物がいる。楽天の監督を退任し、新たにソフトバンクの1軍打撃兼野手総合コーチに就任した平石洋介氏だ。

 今季まではホークスとペナントを争うライバル球団で指揮を執り、オフになって監督を契約満了で退任。つい先日までは敵だったソフトバンクのコーチとして招聘され、キャンプ途中から選手たちの指導にあたっている。

 ソフトバンクのコーチとして初めてのキャンプを過ごしている平石コーチの心境などを聞いた。

「もともと首脳陣には知っている人もいましたし、今回は若い選手だけで人数も少ないので、だいぶ環境には慣れてきました。まあ本当のスタートは来年の春のキャンプで、選手が一斉に揃ってからですけどね」。凛々しい表情を緩める平石コーチ。まず、コーチとしてどういったことを重視してキャンプに臨んでいるのだろうか。

「ホークスに来たからどうのというのはないですね。選手のことを知っていかないといけないし、選手が何を考えてやっているのかとか新たに取りくんでいることをちゃんと理解してあげないといけない。選手がせっかく考えてきたのだから、それが失敗しようが遠回りしようが、そこで気付くこと、やらないと分からないことはいっぱいある。選手の話を聞きながら、こっちの思うことも話しながら、選手の気持ち、考えを聞きながらやっています」

 まずは選手を知り、選手の考えを知ること。だからこそ、選手たちに声をかけてコミュニケーションを図る姿がキャンプ中から目立っている。

外から見るホークス、そして中に入って感じるホークスの強さ

 監督代行、そして監督を務めながら、再びコーチという役職に就く。立場の変化に難しさは感じないのだろうか。

「珍しいかもしれないですけど、今までやった方もいられますからね。(監督というのは)あくまでも過去なので。打撃だったり、野手総合として全体的なことも、と言っていただいているので、ヘッドコーチもいますので一緒に話しながら、ほかのコーチとも話をしながら。なんとかチームが、選手がいい方向に伸びていくのをサポートできればいい」

「あとは工藤監督の野球をしっかり理解して、風通しのいいという表現が正しいのか分からないですけど、監督の考えを理解して、ヘッドであったり、コーチであったり、選手との関係性をうまくやっていけたらいいですね。今年は監督を1年やらせてもらって、監督をやらないと分からなかったこと、監督しか分からないことはいっぱいありました。短い期間だったですけど、それを経験したことで工藤監督をサポート、お手伝いできたらなと思います」

 10月まではペナントを争うチームの指揮を執り、そして、今はそのチームの中でコーチを務める。外から見たソフトバンクと中から見たソフトバンクの違い、強さの要因を感じたところはあったのか。

「まだ分からないです。ただ、選手も少ないですけど、練習だけじゃなくてトレーニングのことであったりとか、そういうところもしっかりやっているんだなと思いますね。技術練習だけじゃなくてね、トレーニング、ランニング、コンディショニングも含めてですね、しっかり体を鍛えるというのを球団としても意識してやっているんだなと感じますね。どの球団もやっているんでしょうけど、そういう印象は受けますね。ウエートというウエートもやってますけど、それ以外の体の使い方を意識してのトレーニングもやっているんだなという印象は受けました」

 コーチ就任が決まり、キャンプに合流したのが11日。そこから、まだ10日ほどしか経っていないが、その中でも様々な感じるところがあるという。来季は4年連続の日本一を狙うソフトバンク。新たにチームを支える平石コーチにも注目したい。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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