皇位継承に伴う「大嘗祭」の舞台となった「大嘗宮」の一般参観が21日、皇居・東御苑で始まった。14日夜~15日未明に営まれた「大嘗宮の儀」では天皇陛下が五穀豊穣や国と国民の安寧を祈られた。その様子はテレビで生中継されるなど大々的に取り上げられたが、大嘗祭に関連する儀式などは、半年前から行われてきた。
7世紀後半に起源を有するという大嘗祭。歴史的、宗教・文化的な側面が注目される一方で、関連費用として総額20億円超が充てられた点など、多方面から取り上げられてきた。
前回、平成時に行われたのは1990年。令和となり、およそ30年ぶりに挙行された「一世一度の重要祭祀」の記録を、写真を中心に振り返る。
【斎田点定の儀】(5月13日)
大嘗祭で使うコメの産地を占う儀式。カメの甲羅を使った占い「亀卜」の結果、コメを育てるための「斎田」を設ける都道府県を栃木と京都に決めた。
【大嘗宮地鎮祭】(7月26日)
祭祀を担う掌典が装束姿で、大嘗祭の中心儀式「大嘗宮の儀」が営まれる悠紀殿と主基殿の建設予定地にコメや酒などを供え、工事の無事を祈る祝詞を読み上げた。その後、両殿の予定地に絹布などをそれぞれ埋めた。
【斎田抜穂前一日大祓(ぜんいちにちおおはらい)】(9月26日)
大嘗祭に使うコメの収穫儀式「斎田抜穂の儀」を翌日に控え、斎田がある栃木県高根沢町と京都府南丹市で、儀式参列者が身を清めた。
【斎田抜穂の儀】(9月27日)
栃木県高根沢町と京都府南丹市の斎田で、大嘗祭で使うコメを収穫する儀式。各産地の銘柄は「とちぎの星」と「キヌヒカリ」。
【新穀供納】(10月15日)
大嘗祭に使う栃木県高根沢町と京都府南丹市の「斎田」で収穫したコメを納める行事。皇居・東御苑で建設中の大嘗宮の一角で行われた。
【勅使発遣の儀】(11月8日)
大嘗祭を行うことを報告するため、伊勢神宮(三重県伊勢市)に使者の勅使を派遣する儀式。古式装束姿の天皇陛下が、伊勢神宮で読み上げる「御祭文(ごさいもん)」を勅使に託した。
【大嘗宮の儀】(11月14~15日)
即位した天皇が五穀豊穣や国の安寧を祈る儀式で「秘事」とされる。
【大饗の儀】(11月16、18日)
「大嘗宮の儀」が終わり、皇居・宮殿で、天皇、皇后両陛下が儀式の参列者と酒食を共にされる祝宴。平成時は2日続けて計3回催されたが、天皇、皇后両陛下の負担を考慮し、2回に減らした。
一般参観の入場時間は午前9時から午後3時まで。12月8日まで公開された大嘗宮はその後、取り壊される。即位関連の皇室行事は今後も続き、11月下旬からは伊勢神宮や昭和以前4代の天皇陵への参拝なども控えている。(構成、共同通信=松森好巨)