“血を見ることも、人生をゆがませることもなく事件は終わった”回の余韻がすごい!

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あぁ、なんて良いお話…。

第1話の試写レビューで、締め切りが近いのに面白すぎて何度も観まくって掲載がギリギリになっちゃったみたいなことを書きましたが、今回は余韻がすごい。

「ああ、なんて良いお話…」って2時間くらいボーっとして、気付いたら寝てましたよ。それはただ眠たかっただけじゃないかという線も捨てきれませんが、多幸感というのでしょうか?脳内でセロトニンと呼ばれる精神を安定させる神経伝達物質が多量に分泌して、今週も『シャーロック』ありがとう…(2時間後)…おやすみなさい…って感じ。

うん、ただのヤバい奴みたいですが、今週の第7話をご覧になった方、この気持ち、少しはわかってくれますよね?あんなステキなオチ、ないですよね?

前々回が息子の血を抜く“エンバーミング(遺体保存法)”、前回が記憶を操作した“前世殺人”と、直近がかなりアクロバティックなトリックを用いたハイカロリーな回だったけれど、今回は獅子雄(ディーン・フジオカ)と“少年シャーロック”(山城琉飛)の交流を描いた友情物語がメインで、ラストに若宮(岩田剛典)がモノローグでも語った “血を見ることも、人生をゆがませることもなく事件は終わった”回。

これまではハードな展開に打ちのめされる感覚こそが『シャーロック』だと思っていたけど、今回のように「あぁ、なんて良いお話…」って物語でもちゃんと『シャーロック』が成立するだなんて、こんな多彩な魅力が詰まった作品にはなかなか巡り合えないですよ。

あと前々から、ディーンさんが演じる獅子雄は、トリッキーとコミカルとダンディのバランスが絶妙で田村正和さん主演の『古畑任三郎』に通じるものがある…なんて思ってたんですが、“殺人事件が起こらない回”を不意に持って来るあたりも、シリーズで屈指の名エピソードであり異色回の「古い友人に会う」(第3期の第5話。津川雅彦がゲストで殺人事件が起きないまま解決編へと進むちょっと変わった回)を思い出しました。

すぐ別のドラマを引き合いに出しちゃうのは僕の悪い癖で、しかも推理モノだからって『古畑任三郎』だなんて安易すぎるかなとは思うのですが、かの名作と同じくらいキャラクターも世界観も完全に出来上がってるなー、と改めて感心させられたのです。

さて今回も遊び心が満載。“若宮先生”による獅子雄の小学生時代を回想する寸劇、お馴染みの“タイトル書き”を若宮が「ワトソン」にして乗っ取るオープニング(でも失敗)、“シニアハウス”のおばあちゃんが獅子雄に恋するサブストーリー、冷蔵庫のプリンを食べた食べてない問答など、挙げればキリがありませんが、中でもやっぱり最高だったのは“今週のアッチー!”。

前回、若宮が熱湯をこぼされるというお決まりをツッコんで回避するというターンまで来たので、僕は今週もコーヒーが出てきた段階で、若宮の結末はいかに!?で気が気じゃなかったわけですが、今回は前半に二度ほど“コーヒーチャンス”を見せておいて、今日はないんだ…と安心しかけた三度目、若宮家に来客のシーン。

今回のゲストで伊武雅刀さん演じる寅二郎に対して獅子雄が「コーヒーお代わりどうです?」という絶好の振りから、危機一髪のフェイントを挟んで、やっぱりこぼして「アッチー!」という三段オチ。見事。

あと「今週のバイオリン」も、まさかの河川敷で、少年野球のど真ん中で、しかも頭部死球で気絶って…。ちょっと今週ふざけすぎてません?だけどやっぱり最後には友情物語に涙して、癒されるんですよね…。

そしてやっぱり『シャーロック』は二度目も面白いんですね。

今回は二度目見た後も「あぁ、やっぱり良いお話…」

じゃない。それはもちろんのこと、冒頭の伊武雅刀さんの表情が認知症の演技ではなかったり、獅子雄が今回の重要なキーアイテム“車庫のシャッター”に序盤から違和感を持っていたりと、二回目だからこその細かな面白さが満載です。

text by 大石 庸平 (テレビ視聴しつ 室長)