「謎のイモムシ」正体と基礎生態を鳥取大学などがスピード解明

鳥取大学農学部の中秀司准教授らの研究グループは、京都府病害虫防除所、京都府農林水産技術センター丹後農業研究所と共同で、京都府京丹後市内でナシの樹皮下を加害する「謎の芋虫」の正体とその生態を解明した。

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芋虫の正体は、ガの仲間で、スカシバガ科コスカシバ属の新種。スカシバガ科は成虫がハチに擬態していることで知られ、多くの果樹害虫を含む。国内に約50種を擁するスカシバガ科の中でコスカシバ属は最もよく調査されている分類群で、本州の平地の、しかもナシ園から新種が発見されたのは極めて異例だという。今回の新種は、幼虫がナシの樹皮下を加害することから「ナシコスカシバ(学名: Synanthedon nashivora)」と命名された。腹部を裏側から見たときに太く白い帯が目立つのが特徴で、既知のどの種とも明瞭に区別できる。ナシコスカシバは、ナシ園で発見された後、鳥取大学、京都府病害虫防除所、京都府農林水産技術センター丹後農業研究所の連携プレーで速やかに分類群の特定と基礎生態の解明が行われた。ナシ樹の加害部位、性フェロモンの成分、発生消長(1年を通じて成虫や幼虫がどの時期にどの程度発生するのかのサイクル)など防除に有用な知見は、防除関係者に知らせるべく、2019年3月の第63回日本応用動物昆虫学会大会で発表している。論文情報:【Tinea 25】A new species of the genus Synanthedon [Hübner, 1819] (Lepidoptera: Sesiidae) from Japan参考:

【鳥取大学】農学部の中准教授がハチに擬態した新種のガを発見

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