【ラグビー】見せつけろ、黒黄の誇り!/早慶戦見どころ

11月に再開した関東大学対抗戦もいよいよクライマックス。ここまで2勝3敗の慶大は、いよいよ伝統の早慶戦に臨む。11月10日(土)には明大を相手に3−40と完敗。ルーツ校としてのプライドをかけ、ここまで対抗戦を全勝で突き進む早大に挑む。

11月10日の明大戦、慶大はSO中楠一期(総1・國學院久我山)のPG(ペナルティゴール)で先制するも、それ以降は武器であるFW陣を中心に繰り広げられる明大ラグビーに終始苦しめられ、明大を相手に対抗戦では3年ぶりの敗戦となった。

明大戦後の慶大フィフティーン

だが、慶大に落ち込んでいる暇はない。2週間の後には、伝統の一戦・早慶戦が待ち受けている。

常勝軍団を率いる主将・齋藤

早大の強さを語る上で、齋藤直人と岸岡智樹の両ハーフの存在を欠かすことはできない。日本代表候補に学生で唯一選ばれていたSH齋藤は、精度の高いパスと素早い球出しで攻撃のテンポを作る。SO岸岡は正確無比のキックでボールを展開する、こちらも大学屈指のゲームメーカーだ。さらに河瀬諒介、中野将伍、長田智希といった決定力のあるランナーを擁するエリート集団の活躍が、対抗戦ここまで5試合で3度の2桁トライをマークした力強い攻撃力の要因となっている。長短を織り交ぜた素早いパスをまわし、フェーズを重ねる展開ラグビーが早大の伝統的な持ち味だ。また、タレント揃いなのはFW陣も同様。小林賢太、下川甲嗣など年代別代表に選ばれた経歴を持つ選手が揃っている。春季大会での対戦は慶大がスクラムで勝る場面が目立ったが、この夏を通じて強化が進んだ。また、ブレイクダウンでの粘り強さでも相手に流れを渡さない。栗原徹HC(ヘッドコーチ)も「隙のないチームになっている」と警戒している。明大戦と同様にかなり厳しい戦いが予想される。

岸岡は大学屈指の司令塔として知られる

ここで、今度は慶大の戦力を振り返っていく。

今年の慶大のラグビーを語るにおいて、欠かせないのが戦術の変化だ。この春、栗原徹ヘッドコーチが就任。世界で主流となっているキック戦術を導入し、今年の試合では、SH上村龍舞、SO中楠のハーフ団から繰り出されるパントキックで好機を演出する場面が多く見られる。

今年から出場機会を増やしたSH上村

さらに言及したいのは、キックを蹴るのはハーフ団だけではないということだ。攻撃に変化をつけるため、主将のCTB栗原由太ら他のBK陣からも果敢なグラバーキックが見られる。一瞬で状況を打破するとともに、相手に的を絞らせない多彩な攻撃が今季の慶大の特徴の一つだ。トライを量産した成蹊大戦で光った素早いパス回しに加え、秋になって形になり始めているキック戦術がどのように機能するかが勝敗のカギを握る。

栗原を始め、全員が攻撃の起点となる。多彩なオプションが武器だ

慶大にとって早大といえば、対抗戦では2010年度以来勝ち星を挙げられていないだけでなく、昨年度の大学選手権準々決勝ではロスタイムに逆転負けを喫した因縁の相手。ラグビーワールドカップの影響で、当日は大観衆の前での試合が予想される。大勢の観客の前で歓喜の輪を作る蹴球部に期待したい。

早慶戦は秩父宮ラグビー場で、11月23日(土)14時キックオフ。

(記事:栗栖翔竜、竹内大志、堀内大生、萬代理人)

© 慶應スポーツ新聞会