島民で高齢者の安否情報共有 見守りネットワークづくり進める 五島・久賀島

©株式会社長崎新聞社

見守りネットワークづくりを進めている黒須さん=五島市久賀町

 高齢化が深刻な長崎県五島市久賀島で、3年前に移住した黒須久美子さん(49)が、島民同士でお年寄りを見守るネットワークづくりを進めている。高齢者と日常的に接点のある郵便局や農漁協の職員らの協力を得て、インターネット上で安否情報を共有。数日間、見掛けない人がいる場合などの“異変”に、いち早く気付けるようにする。来年2月にも実証実験を始め、来年度中の本格実施を目指す。

 久賀島は人口307人、高齢化率57%(いずれも10月末現在)の二次離島。75歳以上の後期高齢者は全体の3分の1以上を占める。

 黒須さんは2016年7月、久賀診療所長に就いた夫の良玄さん(68)と共に島へ移住。昨年末に島で唯一の商店が閉店したのを機に、今年2月から食料品などを販売する「あおぞらマーケット」を営んでいる。

 自身も看護師や保健師の資格を持ち、「島民の健康のために何かできないか」と考えていた黒須さん。移動販売や配達で島に点在する集落を巡る中で、独居や高齢夫婦だけの世帯が多いことにあらためて気付いた。島には昔から隣人が買い物を代行したり、配達員が声掛けをしたりと互いに支え合う習慣が根付くが、この仕組みを新しく取りまとめられないかと考えたという。

 そこで考案したのが、複数人でスケジュールを調整する際に使う無料アプリの応用。グループの一人がタブレット端末などで入力した内容を、インターネットを介して、メンバー全員に共有する機能がある。これを使い、例えば、高齢者Aさんがマーケットを訪れた日には、黒須さんがアプリでAさんのページに「○」を入力。他の郵便局や市出張所などの見守りメンバーも同時に、Aさんが元気なことが分かる仕組みだ。

 実際の運用では、事前に見守りが必要と思われる人を選定。官公庁や民間事業所など15人ほどの協力者にタブレット端末を配り、毎日安否情報を共有し合う。黒須さんは放送大学の大学院に在籍しており、見守りシステムで集まったデータやノウハウは論文にまとめ、学会などで発表することも考えているという。

 端末の購入費や当面の通信費は、ネット上で不特定多数の人から資金を募るクラウドファンディングを使い、今月までに目標の95万円が集まった。黒須さんは「島に元々ある『互助』の仕組みを生かし、全員で見守る新しい仕組み。孤独死の防止や体調不良の早期発見などにつなげたい」と話している。