高知県知事選挙の投票に行く前に知りたい10の数字|前回の投票率は45.92%、今回は…?

24日に投開票を迎える高知県知事選挙は、8月の埼玉県知事選挙、9月の岩手県知事選挙に続く、国政における与野党対決型の選挙として注目を集めています。また、18歳選挙権のもとで行われる初めての高知県知事選挙ということもあり、若者の動向も注目されます。

若者世代の投票参加を後押しすべく、高知県政において若者とかかわりのある数字を中心に10の数字をご紹介します。候補者の政策を読み解く際の参考資料として、ぜひご確認ください。

高知県の人口は69.8万人 。25年後には人口50万人を下回る見込み

高知県の人口は約69.8万人(2019年10月1日推計人口)です。2000年には約81万人ほどであった人口も、ここしばらくは年間8千人ほどのペースで減少しており、6月にはついに推計人口が70万人を下回りました。
国立社会保障・人口問題研究所の試算では、2045年には49.8万人と50万人を下回ることが予想されています。

2040年には働き手世代が3割減少

特に目立っているのが若者の県外への移動です。図表にもあるように、高校や大学の卒業を迎える年代で毎年約2,000人の転出超過となっています。
人口減少が進む高知県では、働き手世代とされる15歳~64歳の県民は2020年の段階で37.0万人ほどですが、2045年には23.7万人と3割ほど減少することになり、働き手不足などが深刻な問題となることが想定されます。

高知県の年齢別人口の推移、年齢階級別純移動数

25歳~44歳の女性就業率は約80%

少子高齢化が進み、働き手世代が減少する中で注目されるのが女性の活躍です。
男女共同参画白書(平成29年版)によると、高知県の15歳から64歳女性の就業率は2015年(70.1%)と2000年(61.4%)から高まっています。25歳から44歳女性の就業率に限ってみると、2000年(69.8%)→2015年(79.4%)と約10%も上昇し、全国でも9番目に高い水準となっています。

今後も企業等で活躍する女性が増加していくことが期待されますが、大きな課題になることが予想されているのが「介護」と「子育て」です。

2015年には県民の3人に1人が高齢者。2020年には500人の介護人材が不足

高知県では、今後少子高齢化の影響がますますはっきりと表れてきます。

65歳以上の方は2005年には県民の4人に1人程度でしたが、2015年には3人に1人となり、2040年にはおよそ41%の県民が65歳以上の方になる見込みです。

高齢者人口の増加は、近い将来の介護需要の増加にも結びついていきます。
厚生労働省の調査によると、2016年度に高知県内には1.3万人の介護職員の方がいましたが、2020年には1.5万人の介護職員の需要が見込まれています。
介護職員は増員が進められていく見込みですが、2020年に見込まれている職員数は1.45万人と500人程度の不足が予想されています。

なお、高知県内では75歳以上の方の割合が急速に高まっています。2015年には75歳以上の方は県民の17.2%ほどでしたが、2020年19.0%、2025年22.4%、2030年24.4%と10年後には県民の4人に1人が75歳以上の方となることが見込まれています。

全国で少子高齢化の傾向が強まり介護人材の需要が高まる中で、今後、高知県ではどのようにして安心して老後を過ごせる環境作りやその担い手育成を進めていくのでしょうか。

保育所待機児童は35人。生まれてくる子どもの数が減っても待機児童問題は解決せず

高齢化が進むなか、高知県の合計特殊出生率(平成29年度)は1.56と全国で14番目となりましたが、出生数6.8万人は全国で40番目であり少子化も進んでいます。

高知県の保育所待機児童数は2019年4月1日時点で35人。前年度からは16人の減少となりました。なお、2010年の待機児童数は24人でした。同年に高知県で生まれた子どもの人数は5,518人であったのに対し、2018年には4,663人と生まれてくる子どもの数は減少傾向にありますが、待機児童問題は依然として解決されずに課題として残されたままです。

子育て世代の女性の就業率が高まる中で、今後も保育需要が高まることが予想されます。県内では保育所待機児童だけでなく、学童保育の待機児童(2018年132人)も発生しています。これらの施設の定員増加が進められてきている中で、今後求められる取り組みはどのようなものとなるのでしょうか。

児童相談所での虐待相談対応件数は4年間で1.8倍に増加

また、仕事を持つ親御さんが増える中で子どもたちを取り巻く環境にも注目が集まっています。

高知県内での児童相談所での児童虐待相談への対応件数は2017年度に326件と2013年181件から約1.8倍に増加しています。
同期間に全国では2017年度13.4万件、2013年度7.4万件と1.8倍の増加でしたので、高知県の増加のペースは全国と同程度であることがわかります。

医療の面も確認しておきましょう。
高知県の人口10万人あたり小児科医師数は129.3人と全国で5番目に多くなっています。一方で、人口10万人あたりの産科医師数は40.6人と全国で37番目です。
高知県は、医師の絶対数で比較すると全国でも低い順位となるものの、人口10万人あたりの数で比較すると全国でも高い順位となる傾向が続いています。
そのようななか、高知県内で救急搬送に要した時間は40.2分と全国で10番目に長い時間を要しているという実情もあります。

少子高齢化が進む高知県において、望まれる医療環境はどのようなものでしょうか。

南海トラフ地震での想定死者数は1.1万人(2019年試算)

暮らしの安心、安全を考えたときに、注目されるのが南海トラフ地震への対策です。
高知県による第4期南海トラフ地震対策行動計画では、継続的に対策を講じてきたことで、2013年5月に県が想定した死者数42,000人が2018年度末時点で11,000人まで減少したことが明らかにされています。

近年、大規模な自然災害により私たちの暮らしが脅かされることも増えていますが、その影響を抑えながら安心して暮らしていくためにはどのような備えが必要となるのでしょうか。各候補者の取り組みが注目されます。

有効求人倍率は1.27倍。一人あたり県民所得も6年続けて増加

県知事選挙では、高知県の稼ぐ力、経済の活性化も注目されています。
全国的にも「売り手市場」にあると言われている雇用環境ですが、高知県の状況はどうでしょうか。

高知県における有効求人倍率は2018年度1.27倍でした。2015年度に1倍を超えてから、4年続けて1倍を超える状況が続いています。また、正社員の有効求人倍率も2015年0.50倍から2018年0.73倍まで上昇しています。

一人あたり県民所得は2015年度 253万円と、すべての都道府県の中で高い方から数えて37番目となっています。県民所得の増加率は年によってばらつきがあるものの、2013年度からはプラスが続いており、リーマンショック前の水準(2006年度231万円)を超える水準が続いています。

県税収入は669億円。前年に比べて10億円の増加

県内の経済状況の変化は、高知県の予算の内、県税収入という形で表れています。
平成31年度一般会計当初予算での県税収入は669億円が見込まれています。4年前の平成27年度は607億円、8年前の平成23年度は526億円と、増加傾向にあることが確認できます。ただし、県税収入額の変化を評価する上では、12年前の平成19年度は687億円、平成20年度は655億円であったことも、確認しておきたいポイントです。

県の予算に占める公債費の割合は減少しており、平成19年度20.2%であったものが平成31年度14.3%となっています。

前回、選挙戦となった県知事選挙(2007年)の投票率45.92%

高知県知事選挙の有権者数は約61万人です。
高知県を100人の村に置き換えてみると、村人の内88人が投票権を持っていることになります。前回、投票のあった知事選挙(2007年)の投票率は45.92%でしたので、今回も同じ投票率だと仮定すると知事選挙で投票する村人は41人になります。

今回取り上げた10の数字に関連して、各候補者はどのような政策を打ち出しているのでしょうか。今後、他のどの世代の方よりも長く高知県とかかわりを持つことになる若者世代が、高知県の未来を「自分ごと」として考え、各候補者の政策を読み解き、納得のいく1票を投じていくことが期待されます。

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