楽天ドラ3津留崎、ダルきっかけで最速153キロ“筋肉右腕”に 大学日本一からプロへ

楽天からドラフト3位指名を受けた津留崎大成【写真:高橋昌江】

契約金6000万円、年俸1000万円で合意

 楽天からドラフト3位で指名された津留崎大成投手(慶大)が21日、仙台市内のホテルで入団交渉を行い、契約金6000万円、年俸1000万円で合意した(金額は推定)。明治神宮大会優勝から一夜明け、「チームが優勝、日本一になれたことが素直に嬉しい」と笑顔。楽天のユニホームに袖を通し、プロでの飛躍を誓った。

「KEIO」のグレーのユニホームで日本一の喜びを分かち合ってからわずか1日。津留崎が楽天のユニホームに袖を通した。帽子は「K」から「E」になった。

「昨日、大学野球に一区切りがついて、今日、こうしてユニホームを着させていただいて、身の引き締まる思い。やっとスタートラインに立って、ここから本当の勝負が始まるんだなと思います」

 今秋のリーグ戦では8試合に登板し、3勝を挙げて3季ぶりの優勝に貢献した。明治神宮大会では19年ぶりの日本一に。決勝は出番がなかったが、2試合でリリーフし、1イニングずつを抑えた。「チームが優勝できることが一番。4年生の今年はそれだけを考えてきたので、自分自身の活躍は関係なく、チームが優勝、日本一になれたことが素直に嬉しいです」と白い歯をこぼした。

 大学野球の頂点を極めた喜びをかみしめながら、この日、仙台入りした。宮城県を訪れたのは慶応高1年と3年の仙台遠征で、仙台育英のグラウンドなどに行っただけ。ほぼ初めての地で野球の腕を磨き、生活をしていくことになるが、心強いアドバイスを受けてやってきた。

 慶応大の同級生で中日4位指名の郡司裕也主将は千葉県の出身だが、高校は仙台育英。「本当に寒いということと、周りの方々が温かいというのは聞きました。あと、『方言を覚えないと会話にならないよ』って言われました(笑)」と言って、報道陣を笑わせた。しっくりこない感じや居心地の悪さを表現した「いづい」や同意の意味の「だから」などがあるが、「具体的に言われたんですけど、忘れちゃいました」と、これから覚えていく。

トミー・ジョン手術を受けトレーニングに目覚める、きっかけはダルビッシュ

「筋肉は裏切らない」がモットーのトレーニング好きだ。「シーズン中も週6くらいはやっていました。仙台駅前にゴールドジムがあるので、今日か明日、行ってきたいなと思います」と言うほど。トレーニングに目覚めたきっかけは、高校3年の10月に右ひじのトミー・ジョン手術を受けたことだ。

「手術が明けてからボールを投げられない期間が長く続いた。その時にダルビッシュ選手の『基礎筋力をもっと鍛えた方がいい』といった記事を見て、僕も始めないといけないなと思いました」

 大学に入ると筋力アップに力を入れた。土日のリーグ戦を前にした金曜日も1時間ほど胸周りのトレーニングを行ってきた。「やると調子がいいというルーティンがある」と自身に合った調整法で登板し、試合後も筋肉に刺激を入れた。「大きな筋肉を使うことによって、自分の出力につながってくると思っています」。投球フォームに影響を及ぼすようなことはなく、パフォーマンス向上に役立て、プロへの道を切り開いた。

 大学までは学業と野球を両立させてきたが、これからは野球やトレーニングに集中できる。申し分ない環境に「自分自身の身体のことだけを考えることができる。栄養面などにも順応しながら頑張っていきたいなと思っています」と目を輝かせた。

 ストレートの最速は153キロで、スライダー、カットボール、ツーシーム、フォークと多彩な変化球を持つ本格派。今季限りで退任する元近鉄の大久保秀昭監督からは常々、「プロは本当に厳しい世界」と言われている。覚悟を固めている津留崎は「僕自身、プロの打者がどういうレベルなのか、まだ想像もつきませんが、しっかり準備をして1月の新人合同自主トレに入れたらなと思います」と意気込んだ。(高橋昌江 / Masae Takahashi)

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