登山を始めてみたい!道具は何から揃えればいい?
「友達に誘われて」「健康のため」など、登山を始める理由は人それぞれですが、いざ行くことになったら揃えないといけないのが「登山用品」です。登山に必要な道具は何十個もありますが、いきなりすべてを揃えるのは労力も時間もお金もかかりますよね。一体何から揃えていけば、ストレスなく快適に登山を楽しめるのでしょうか。
準備するものはたくさん!でも迷ったら【三種の神器】を優先して揃えよう
登山には「三種の神器」と呼ばれるアイテムがあります。それは、「登山靴」「レインウエア」「ザック」の3つ。この3つはたとえ何があっても絶対に登山に持って行かねばならない道具です。初心者から上級者まで、すべての登山者が共通して持つべき超重要なアイテムなのです。
登山の「三種の神器」はすべて大切なものなので、どれか一つでも欠けることのないように準備しなければなりません。なかでも「靴」は、登山の大前提である「歩く」という部分に関係する非常に重要なアイテム。もし登山中に靴が合わず、足が痛くなってしまったら…?もう歩けなくて一刻も早く山を下りたくても、足が痛くて次の1歩が出ない…という悲惨な状況になってしまいます。登山靴選びが快適な登山ライフを左右するといっても過言ではありません!
では、実際にこれから登山を始めたいと思っている人は、どんな靴を選べば良いのでしょうか。靴選びの達人=登山用品店の店員さんに、初心者が選ぶべき靴のポイントをずばり聞いてみました。初心者でなくとも、靴選びのコツが隠れているかも…!
教えてくれた人
(左上)アートスポーツOD BOX本店/千葉さん
約10年前から登山を始め、キャンプ、トレラン、釣り、ウィンタースポーツなどアウトドアスポーツを全般的に楽しんでいる。
(右上)さかいや/斎藤さん
登山はもちろん、トレラン、MTB、アドベンチャーレースなどにも出場経験あり。
(左下)L-Breath 吉祥寺店/佐藤さん
シューズ・大型ザック・トレッキング小物などの売場担当。プライベートでも登山が趣味で、1年を通して月に1〜2回のペースで日帰り登山、夏〜秋には2000mクラスの山で1泊することも。
(右下)石井スポーツ 新宿東口ビックロ店/店長代理 松島さん
2011年5月に石井スポーツに入社、その後神保町の登山本店での登山靴担当を経て、現在は旗艦店である新宿東口ビックロ店の店長代理(取材時)を任される。プライベートでも定期的に山登りを楽しんでいる、登山靴の大ベテラン。
まず、万人に共通する「登山靴選びの条件」というものはあるのでしょうか?
アートスポーツ
千葉さん
見た目から入らず、足型から選ぶのがおすすめです。足の幅にあっていて痛みがないこと、そして登山なら登山靴、トレランならトレランシューズといったように目的にあった靴を選ぶことがポイントです。もし2足履いてどちらも良ければ、最後は見た目や、この靴とだったら楽しく山登りができそう!と、思った靴を選ぶと良いですよ。
さかいや
斉藤さん
登山の靴は、ネットだけを見て購入するのはあまりオススメできませんね。できれば、店舗で実際履いて、アウトドア経験の豊富なスタッフと楽しく選ぶのが、自分にぴったりの靴を探すコツ。楽しい登山は、靴を買う瞬間から始まっていますよ。
特に「これから登山を始めたい」初心者の方にオススメの靴の条件は?
エルブレス
佐藤さん
適度にクッション性がある靴をおすすめしています。堅すぎずやわらかすぎないソールのものは、足や腰への衝撃を和らげられますよ。できればスニーカーと同じように歩ける感覚の、グリップ力もあるトレッキングシューズが初心者には扱いやすいと思います。
アートスポーツ
千葉さん
足首がサポートされている靴ですね。登山は土や岩、木の根など普段の生活ではあまり歩かないような地面を歩くことになるので、怪我をしやすいんです。足元がしっかり決まれば、楽しくハイキングができること間違いなしです!
さかいや
斉藤さん
長時間歩いても、足が痛くならないようなフィット感のあるものを選ぶのがコツです。足幅や甲の高さなど、足の形は人によってだいぶ異なるので、必ず試し履きをしてほしいです。試し履きの段階で痛いようであれば、残念ながら足には合っていない可能性が高いですね。
石井スポーツ
松島さん
この季節だと、紅葉を楽しむトレッキングの需要が多いですよね。小旅行+ハイキングで使えることも考えると、機能性の高いローカットシューズがぴったりですよ。
【まとめ】初心者にオススメの靴選びの条件3か条
・足や腰を痛めないために、適度にクッション性があること
・下山のトラブルを防ぐため、足首までサポートされているミドルカット以上のもの
・デザインで選ぶのはNG。長時間歩いても痛くならない、フィット感があるものを
店員さんがこっそり教える!「私がホカ オネオネのSKY KAHA(スカイ カハ)をおすすめする理由」
初心者にオススメの靴の条件を教えてもらいましたが、果たしてそんな要望を全て満たす靴はあるのでしょうか?
エルブレス
佐藤さん
オススメ、あります!ランニングシューズやトレランシューズで定評のある「HOKA ONE ONE(ホカ オネオネ )」から、この夏発売された注目のシューズ「SKY KAHA(スカイ カハ)」が、クッション性、足首を守るミドルカット、フィット感全て満たしていると思います。
エルブレス
佐藤さん
私は実際に金時山で使用しましたが、道のコンディションが悪い状態でも、転ぶ事無く登山できました。軽く、クッション性が高いので、下山時はとても楽でしたよ。また、次の日の足のだるさもいつもより少なく感じました。
アートスポーツ
千葉さん
7月上旬、甲武信ヶ岳への1泊2日テント泊山行(荷物の重さは約10キロ)で使用しました。なだらかな坂道はホカ オネオネ独特の足を包むような構造のソールのおかげで足運びが楽でしたし、山頂直下の岩場の急坂でも安定して歩けました。クッション性があるので「膝が…限界」ということもなく、下山時も快適でした。足首のホールド感も申し分ないです。
SKY KAHAは、他にもこんな人におすすめ!
さかいや
斉藤さん
ULスタイルでの登山を始めてみたい人にもおすすめ。特に、ロングトレイルに挑戦したい人にはぴったりの靴です。靴底がつま先に向かってロールアップしている構造で、次の一歩が自然に出る感覚が「どこまでも遠くに歩いていける…!」と思わせてくれます。
アートスポーツ
千葉さん
ミドルカットでソールもしっかりしているのに、約500グラムと軽量なのが、この靴の魅力のひとつ。登山靴はスニーカーより靴底や生地が厚く頑丈なため、その重さゆえに足が疲れてしまうことも。軽量化にこだわるスピードハイカーさんにはぴったりです。クッション性が高いので、スピードを出しても膝への衝撃がほかの靴に比べて少なめ。下りは膝や腰が痛くなってしまい、なかなかスピードが出せない、という人にもぜひ試してほしい一足ですね。
石井スポーツ
松島さん
僕もやはりクッション性と、軽さを推したいですね。あとは、登山靴の中でもファッション性が高くて、おしゃれだなと思いました。今、登山ウエアでもアースカラーなど普段着で使えるようなものが増えていますよね。靴も同じで、ちょっとしたアウトドアにも、街ばきにも、登山にも使えるデザインのものだと一石三鳥でおいしい!包み込むようなフィット感もクセになりますね〜。
エルブレス
佐藤さん
軽量化をすすめたいが、トレランシューズでは足首まわりの故障が不安、という人にすすめたいです。SKY KAHAは軽量でありながら、足首までカバーするミドルカットなので、足首の捻挫など下山時のトラブルを防止することができます。Vibram®メガグリップアウトソールを使用しているので、濡れた地面や岩でのグリップ力も良いですね。
でもちょっとここが気になる…
石井スポーツ
松島さん
ソールが柔らかいので、すり減りが早く感じるかもしれません。またこれまでの重厚な登山靴に比べると、アッパーの剛性はどうしても弱く感じることも。岩だらけの道だと足の側面が気になる人もいるかもしれませんが、樹林帯のハイキングなら気にならないレベルだとは思います。
エルブレス
佐藤さん
価格が35,000円(税抜)と他の同じようなスペックのハイキングシューズに比べてちょっとお高め…。はじめの一足として購入するにはなかなか勇気がいる値段ですね。
アートスポーツ
千葉さん
確かに高いかもしれませんね。ただ、1回靴を買ったら2、3年は使うのが通常。登山の疲労感や怪我に直結する部分なので、三種の神器の中なら少々高くても靴に一番投資をするのがオススメ!初めての靴ならなおさら投資をしても良いのではないでしょうか。
とはいえ、総合点は高め!最初の1足はもちろん、スピードハイクやロングトレイルのような山行でも実力を十二分に発揮してくれる、頼もしい存在です。
登山の基本は歩くこと。靴を正しく選ぶことは、登山の安全はもちろん楽しさにも直結します。デザインや価格も大切ですが、それよりも自分の足形に合うことや、膝や腰を痛めない程よいクッション性、足首をねんざから守るミドルカットなど登山靴に求めることはたくさんあります。迷ったらたくさん履いてみて、自分にぴったりの1足を見つけて、楽しい登山ライフを送ってくださいね。