若年齢化の進むF1。最年長のライコネンは「40歳でレースをしていると言われても信じなかっただろう」

 アルファロメオのキミ・ライコネンは、40歳という年齢になってもまだ自分がF1で走り続けているという事実に戸惑いも感じているようだ。約19年前にF1に初参戦したころには、今の状態を想像もしていなかったという。

 F1では、ここ数年ドライバーの若年齢化が進んでいる。マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)、シャルル・ルクレール(フェラーリ)、ランス・ストロール(レーシングポイント)、ランド・ノリス(マクラーレン)といった若手は、いずれも10代の時点で表彰台を目指すチャンスを得た。

 年齢分布において彼らの対極にいる40歳のライコネンは、F1の世界では古参ドライバーだといえる。これまでに312戦のグランプリレースを走り、21戦で優勝を挙げ、2007年にはタイトルを獲得した。

 2001年にザウバーからデビューを果たしたとき、ライコネンは夢であるF1タイトル獲得に向けて大きな野望を抱いていただろう。しかし彼のキャリアプランには、それから20年近くたった現在までモータースポーツの頂点でレースを続けているという見通しは含まれていなかったはずだ。

2003年F1第2戦マレーシアGP:F1初優勝を飾ったキミ・ライコネン

 ライコネンは『Yahoo Sport』に対し、「もし、あの頃に『君は40歳になってもF1でレースを続けているだろう』などと言う人がいたとしても、信じなかったと思う」 と語った。

「言うまでもなく、そのころは良い走りをしてF1にとどまることしか考えていなかった。何の保証もなかったからね」

「2001年に、2年プラス1年の3年契約を結んだ。でもキャリアが浅い時期だったから、自分の目標は良い仕事をすることであって、その結果どうなるのかは分からなかった。自分が27、28歳になったときでさえ、40歳でレースをしている方には賭けなかったと思うよ」

「そして(2010年と11年に)2年間F1を離れた。ああしていなければ、今自分はここにいなかっただろう。レースにではなく、政治的なことやその他のつまらない問題にとにかくうんざりしていたんだ」

 そうした問題からは距離を置き、自身のことにも淡々と対処する、控えめに言っても無口なライコネンは、F1のトップドライバーたちのなかでは最も雑事とは縁遠い存在だろう。

 それでも最近は、以前よりもリラックスした雰囲気を漂わせてメディアとの会見に臨んでおり、そっけない答えを返すことも少なくなっているようだ。

 ライコネンにとって、レースは今も重要な業務ではあるが、もはや生活の中心ではなくなっている。今その位置を占めるのは、彼の家族、すなわち妻のミントゥさんと、4歳の長男ロビンくん、2歳の長女リアナちゃんだ。

「子供たちは、さまざまな意味で生活を大きく変えた」

「毎日すべてのことが順調に進むことはないけれど、生活とはそういうものだ。多くの点で以前よりずっと忙しくなった。でも、人生の目的は大きく変わったんだ」

「もちろん、レースには多くの時間を費やしているし、そういう意味で生活の大きな部分を占めている。それでも、たかがレースだ。レースが僕の人生で最も重要なものだったことは一度もないよ」

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