【MLB】バーランダーとコール 甲乙つけがたかったサイ・ヤング賞争い、2投手の違いは…

アストロズのジャスティン・バーランダー【写真:Getty Images】

バーランダーが2度目の受賞も…同僚コールも圧倒的な成績をマーク

 今年のアメリカン・リーグのサイ・ヤング賞投票は、同一チームの投手同士の稀に見る接戦の末に、アストロズのジャスティン・バーランダーが2011年以来2度目の受賞となった。

投票結果は

1 バーランダー(アストロズ) 171ポイント
2 コール(アストロズ) 159ポイント
3 モートン(レイズ) 75ポイント
4 ビーバー(インディアンス) 64ポイント
5 リン(レンジャース) 18ポイント

 バーランダーとチームメートのコールのポイント差は12。サイヤング賞は1人の記者が5票を持ち、1位(7点)、2位(4点)、3位(3点)、4位(2点)、5位(1点)と投票していく。バーランダーは1位票を17%、コールは13%獲得した。

 同一チームの投手がサイ・ヤング賞投票で1、2位で競り合ったのは、2002年、ダイヤモンドバックスのランディ・ジョンソンとカート・シリング以来。このときはジョンソンが160ポイント、シリングは90ポイントで、ジョンソンが受賞している。この2人は前年の2001年も1、2位で競り合い、この年もジョンソン156ポイント、シリング98ポイントでジョンソンが受賞している。

 バーランダーとコールの今季成績は拮抗していた。()はリーグ順位

◯ジャスティン・バーランダー 36歳
右投げ 195センチ 102キロ

34試合(1) 21勝(1)6敗 防御率2.58(2)
223回(1) 300奪三振(2) 42与四球

◯ゲリット・コール 29歳
右投げ 198センチ 102キロ

33試合(5) 20勝(2)5敗 防御率2.50(1)
212回1/3(3) 326奪三振(1) 48与四球

 まさに甲乙つけがたい成績。最多勝のバーランダーに対し、コールは防御率1位で奪三振王。イニング数ではバーランダーが1位、コールが3位だった。

WARではサイトによってポイントが分かれるほどの僅差

 セイバーメトリクスによる総合評価WAR(Wins Above Replacement)ではどうだろうか。WARは、その選手が代替可能な選手に比べてどれくらい勝利を生み出すかの指標。攻撃、守備、投球面のあらゆる数字を加味して複雑な計算式で算出する。

 米データサイト「Baseball Reference」によれば、バーランダーが7.8、コールが6.9。しかしもう一つのデータサイト「FANGRAPHS」によればコールが7.4、バーランダーが6.4。最新のデータ分析でも、サイトによって評価が分かれるほどの僅差だった。

 強いて両投手で差がついたデータを挙げるとするならば、イニング数に加えて、

完投、完封
 バーランダー2完投1完封(うち1度ノーヒットノーラン) コールどちらも0

WHIP(1イニング当たりに安打と四球で許した走者数)
 バーランダー0.80 コール0.90

被打率
 バーランダー.172 コール.186

 前述のようにサイ・ヤング賞は、記者投票によって決まる。ゲリット・コールは今オフFAとなった。来季はアストロズ以外のチームでバーランダーらと争うことになる。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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