かくれ信者が「オラショ」 平戸・生月

オラショを唱える壱部地区のかくれ信者=平戸市

 ローマ教皇フランシスコの長崎訪問を記念し、長崎県平戸市生月町壱部地区に伝わるかくれキリシタンの祈り「オラショ」が23日、市生月町博物館・島の館で披露され、来場者が静かに聞き入った。
 オラショは同島にキリスト教が伝来した約450年以上前から信者の口伝で引き継がれた。公演は訪問に合わせ、同館が企画した。
 同館の中園成生学芸員(56)によると昭和初期、かくれキリシタンは生月島の人口約1万1千人の約9割を占めたとされるが、高齢化などで現在は約300人。オラショを唱える人は島内で約50人にまで減少した。
 会場では着物姿のかくれ信者4人が、日本語やラテン語で構成された約40の祈りを約30分かけ暗唱する「一通り」を手を合わせたり、十字を切ったりする動作を交えながら披露。訪れた約20人は信仰の奥深さを実感した。
 かくれ信者の谷本雅嗣さん(63)は「信仰に対する思いはカトリックと同じ。環境は厳しいが、先祖が守ってきたものをつなぎたい」と話した。

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