外国人観光客の増加でホテル戦争が勃発、「飛騨高山」の個性的な宿3選

他の大都市に比べて名古屋・東海エリアのホテル進化は鈍いといわれてきました。東京から新幹線で完全な日帰り圏内であることも一因でしたが、近年ではリニア開業予定(2027年)の発表、訪日外国人旅行者の増加もあり状況が一変しました。多彩なコンセプトのホテル開業が続き、さらに“昇龍道”というワードも認知されることになり、名古屋から飛騨、北陸地方が人気観光ルートに。

昇龍道とは中部・北陸地方を“龍”に見立てた観光ルートですが、中間地点ともいえる人気観光エリアが飛騨高山です。高山は「飛騨の小京都」といわれ、市街中心部には城下町や商家が雅な佇まいを残しています。そんな雰囲気に惹かれる観光客は訪日外国人旅行者を中心に増加の一途をたどり、それに合わせるかのように宿も増えています。


高山市の宿泊施設数は2016年には203軒だったのが2019年1月現在で330軒と急増。それもいわゆる無機質なホテルというよりも、高山の街並みに合わせるかのような個性的な宿が目立ちます。今回はいま高山で注目の宿を3軒紹介します。

2019年7月開業「eph TAKAYAMA(エフ・タカヤマ)」

まずは高山駅至近の注目ホテルから。2019年7月1日に駅徒歩1分の場所へ開業した「eph TAKAYAMA」です。エフ・タカヤマと読みます。同ブランドは既に京都で「eph KYOTO」が開業していますが、高山は京都に続く「eph」ブランド第2弾となります。京都の次は小京都、というのも興味深いです。

コンセプトは「刺激的な空間と個性に『Effect (影響) 』される。」というだけあり、飛騨高山の街並みに溶け込みつつもデザイン性の高さが印象的。調度品から動線まで客室の隅々へ利用者目線も行き届いています。泊まってわかる快適性というのはホテルステイに大切な要素でしょう。

1階にはカフェバー「Hids’cafe & bar」も併設、大きな和紙の照明が印象的なお店です。おすすめメニューは高山のソウルフードともいえる「鶏ちゃん」のドリア、フィッシュ&チップス、フレッシュフルーツカクテルなど。eph TAKAYAMAの朝食ビュッフェはこちらで提供されます(お店の営業時間は11時~21時)。

外観はごく普通の民家!?「旅館 一の松」

高山には古民家も多く残っていますが、そんな建物を利用した宿も増えています。こちらも今年7月開業の「旅館 一の松」。高山駅西口から徒歩5分、築30年の家を古民家宿に改装した宿です。外観は大きな民家といった風情ですが、美人女将に迎えられ館内に入るとジャパニーズモダンな世界が広がりアッと驚きます。

1階には共有部であるリビングとキッチンがあります。リビングには飛騨家具のダイニングセットがあり温かな空間を演出しています。隅には掘りごたつを備えたコーナーもあり、冬はぬくぬくと雪降る風景も楽しむことができます。

リビングから望める中庭の先には露天風呂「星の湯」が。夜空の星を眺めながらリラックスして温泉を楽しむことができます(飛騨高山温泉の運び湯)。

客室は全12室。基本的には和モダンな洋室中心でタイプによって料金が異なります。うち1室は内湯を備えた高級感あふれる和室が。畳や欄間などの日本文化を残しつつ、洗面台やトイレなど実用的な箇所は最新の設備を使用しています。全室完全防音・防寒の壁と二重ガラスも採用、快適性の高さが光ります。

禅の思想がテーマの「HOTEL WOOD 高山」

最後に紹介するのは今年8月に開業した「HOTEL WOOD」。木造三階建てホテルで高山の伝統的な街並みに見事に調和。外観はダークブラウンで美術館のような雰囲気も漂います。客室は全70室で木造がメインとなった建築にして、外観・内観共に地元の工芸技術を取り入れています。

禅の思想がテーマになっておりコンセプトは「ZEN(禅)=リラックス×カルチャー」。「マインドフルネスやリラックスを体感しつつ、日本文化や高山の地域文化をコーディネートした特別な旅の提供を目指す」といったスタンスはロビーにもあらわれています。まず圧倒されるのが、職人の手によって丁寧に組み上げられた天立体格子状の天井とモダンな雰囲気にマッチする飛騨家具。

宿泊者には地酒が自由に飲める利き酒コーナーもあります。高山の地酒が7種類用意されており自由に試飲できます。ロビーで地酒の飲み比べなんて最高でしょう。客室は和モダン。畳にベッドと間接照明が落ち着いた雰囲気を醸し出しています。客室にも飛騨家具という贅沢感が味わえます。大浴場もあり旅の疲れを癒やすことが出来ます。


飛騨高山の宿3選、いかがだったでしょうか。高山の街を散策すると欧米を中心とした訪日外国人旅行者が目立ち日本文化を満喫しています。9月20日には中部国際空港第2ターミナルも開業、名古屋を観光拠点とした東海・北陸地方の旅がいま脚光を浴びる中、小京都高山の存在感も際立っています。

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