柔道GS大阪 永瀬、復活V 五輪切符 引き寄せる

【男子81キロ級決勝】足技で果敢に攻める永瀬貴規(右)=丸善インテックアリーナ大阪

 東京五輪代表へ向けての重要な一戦となるグランドスラム大阪大会で、2016年リオデジャネイロ五輪男子81キロ級銅メダリストの永瀬(旭化成、長崎市出身)が頂点に立った。2大会連続の五輪出場を視界に捉えた26歳は「決していい内容ではなかったけれど、勝ち切れたところは評価していい」と手応えを口にした。
 右膝の大けがから昨秋に戦列復帰。以降、結果が出ずに苦しんだ時期もあったが、地道にはい上がってきた。「1カ月前、2カ月前、そして過去の自分を腐らずに超えていこう」。そう自らに言い聞かせながら練習に励み、まずは4月の全日本選抜体重別選手権で優勝。7月からは国際大会を3連続で制した。
 この日の終盤は「刺激を受けている」という後輩たちとの連戦。決勝は自らが戦線離脱中に日本のトップに立った藤原(日体大)が上がってきたが、培ってきた自信は揺るがなかった。指導二つずつを受ける展開から、延長でしっかりと攻め抜き、相手から三つ目の指導を引き出した。
 体幹と受けの強さ、試合運びのうまさ、隙を逃さずに取り切る技の精度-。完全復活を十分にアピールできた今大会。教え子の応援に駆けつけた長崎日大高の松本監督も「強い。派手さはないかもしれないが、負けなかった結果がすべて」と目を細める内容だった。
 東京への道のりは「まだ気を引き締めていかないと」と楽観視はしていない。でも「東京に出るのは、リオの悔しさを知る自分」と言い続けてきた自負がある。その誰にも負けない思いの強さが、五輪切符をぐっと手元に引き寄せた。

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