【MLB】大谷翔平「守ってみたい」 “知将”マドン監督就任で6年ぶり外野手へ意欲

単独インタビューに応じたエンゼルス・大谷翔平【写真:小倉元司】

大谷インタビュー第1弾、マドン監督はカブス入団交渉で私服登場「常識にとらわれない」

 エンゼルスの大谷翔平投手が23日、都内のスポーツ用品大手「デサント」東京オフィスでFull-Count編集部のインタビューに応じ、外野手での出場へ意欲を燃やした。カブス前監督で知将として知られるジョー・マドン新監督が就任し、来季以降の二刀流起用法に注目が集まっている。右肘、左膝のリハビリ中の25歳は新指揮官との衝撃的な出会いや、日本ハム時代の14年から遠ざかっている外野手での出場への思いを告白。また、リアル二刀流やメジャーで経験のない1番スタメンへの前向きな姿勢を見せた。

――新監督としてジョー・マドン氏が就任した。メジャー移籍を目指した17年オフに入団交渉で会っていた。

「(交渉では)どの球団の人たちもスーツを着てくる。ただ、マドン監督だけは私服で来ていて。本当に発想にとらわれないというか、そういうところにも、とらわれずに動く人なんじゃないかなと第1印象では思いました。この間(10月24日の監督就任会見)も会って挨拶をしました。もちろん(監督として16年に)世界一にもなってますし、何十年もスタッフとして球団に携わってきて……。自信みたいなモノは自ずと自分の中から溢れ出ているような感じはしました。ユニークな感じはしました」

――具体的にどのような衣装だったか。

「どんな感じだったか忘れましたけど、普通に私服でしたね。(交渉前からマドン監督の人柄を)聞いてはいたので、全然何も気にしなかったですけど、いざ……。他の人はみんなスーツだったので、監督だけという感じだったので。面白いなと」

――交渉中はどんな話術を。

「交渉の席では監督よりGMが話すので。そんなに監督が、ということはなかったです。ただ、雰囲気はありましたし、ユーモアのある監督だなと。テレビ越しの采配でも感じるところではあると思いますけど、常識にとらわれない、いろんな柔軟性を持って采配する方だなと見てて思いますね」

単独インタビューに応じたエンゼルス・大谷翔平【写真:小倉元司】

知将就任で広がる二刀流・大谷の起用法、リアル二刀流は「あるんじゃないかなと思う」

――マドン監督はカブス監督だった17年オフに「外野からの返球でも肩を使ってほしくないが、慣れているなら全てがガラッと変わってくるかも」と外野手として出場させる可能性を示唆していた。

「守ってはみたいですけど。『やれ』と言われたら、もちろん。それは自分の可能性を広げていくことになりますし、もしかしたら、チームとしての幅を広げていくことにもつながるかもしれないので。それは僕が『守れません』というよりは『守れますよ』と言った方が、(首脳陣が)使う、使わないは関係なく、1つの選択肢が増える。いいことじゃないかと思います」

――来春のスプリングトレーニングに外野手用グラブを用意するか。

「どうでしょう……。一応、持っていく準備をするかも分からないです。まずは(投手として)投げられるかどうかだと思うので。そこ次第かなと思います」

――マドン監督は「(DH制のない)ナショナル・リーグのルールでも登板できるだろう」と話している。ここまでメジャーでの出場がないリアル二刀流については。

「それはスプリングトレーニングから自分がどういったモノを出していけるか、によるんじゃないかなと思います。今シーズンの補強がどうなるか分からないですし、チーム自体がどういう方向に行くのかは分からない。今年はある程度、打者として出ましたけど、来年は投手として出るにあたって、先発ローテーションのどういうポジションで行くのか。春先から前半戦にかけての成績、(大谷に対する)チームの信頼によると思う。その地位を確立していければ、あるんじゃないかなと思うので。そこはシーズンの最初の状態次第かなと思います」

――日本ハムでもDHを解除してリアル二刀流として出場していた。

「セ・リーグ主催の時は関係ないですけど、DHは(攻撃面の)アドバンテージなので。そこを変えていくというのは……。強制的に降板できない状況を作られているので、5、6回は絶対に投げないといけない。そう思って、監督もチームメートも僕をマウンドに送っているわけなので。炎上できない怖さとかはありました。ただ、先頭打者本塁打を打った時(16年7月3日ソフトバンク戦)もそうでしたけど、(自身の打撃で)点数を取ったことに関して言えば、自分で取った点数なので楽に投げられるというか。無責任に投げられるというわけではないですけど、チームが取ってくれた1点をどうにか守るという精神状態ではなくて、よりアグレッシブに。自分が取った点数で攻めていくという気持ちになれるかなと思いますね。そこはプラスでもあり、マイナスの部分もあるかと思いますね」

――リアル二刀流は試合を支配する。楽しみや責任感は増すのでは。

「どっちもありますね。炎上できないとか、早い回で降板できないというものを強制的に限られている部分もあります。自分で取った点数を取って、自分で守っていくという面白みもある。どっちもあるかなと思います」

――マドン監督はシーズン中に頻繁に打順変更する。1番に出塁率の高い主砲を置く特徴があり、昨季カブスではシュワーバーを56試合、主に3番を打ったリゾを12試合で1番起用した。大谷選手の1番スタメンの可能性はありそうだ。

「うちに関してはトラウト選手という絶対的な選手がいる。どこに置くかで打線トータルのバランスが決まってくる。(大谷の1番起用は)トラウト選手をどこに据えるかだと思いますけどね。今年はずっと2番、僕は3番に座ってましたけど。例えばトラウト選手を3番に置くのか、1番に置くのかによって、前後関係が決まってくる。そこをどう考えているか今のところはわからないですし、スプリングトレーニングでミーティングを重ねて、チームとしてどうやっていこうというコミュニケーションを取ってから決まっていく。ある程度、1番で打った時、2番で打った時、3番で打った時は考えます。ただ、打席でやることは変わらないので。そんなに気にはしないですけどね」

――体が大きくなったように見える。二刀流で1シーズンを闘うため、体のエンジンを大きくしているのか。

「そんなに(大きく)なってないですけどね。ハハハ」

【大谷の外野手出場】

 大谷は日本ハム1年目の13年3月29日の西武との開幕戦(西武ドーム)で「8番・右翼」でプロデビュー。13年に左翼手で4試合先発、右翼手で45試合先発出場した。途中出場などを含めると計54試合で外野手として出場し、7補殺を記録していると14年には左翼手で2試合先発、右翼手で6試合先発出場。公式戦では同年7月13日のソフトバンク戦(札幌ドーム)で「3番・左翼」でスタメン出場したのが最後だ。

【大谷のリアル二刀流】

 大谷は日本ハム時代に計14試合で投打同時に出場し、通算成績は投手で9勝1敗、防御率1.28。打者では打率.286、1本塁打、5打点の成績を残した。16年7月3日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)では「1番・投手」で先頭打者弾を放ち、8回無失点で勝利投手に。投手による初回先頭打者本塁打はプロ野球初の快挙だった。「4番・投手」で出場した17年10月4日のオリックス戦が最後。打撃で4打数1安打1得点、投げては2安打10奪三振でシーズン初完封勝利を飾った。(小谷真弥 / Masaya Kotani)

© 株式会社Creative2