金正恩の「別荘建設」担当の軍部隊、リモデルビジネスがバレて摘発

朝鮮人民軍(北朝鮮軍)は、とかく体面にうるさい。それを守るための様々な規則が存在する。

2010年6月11日の朝鮮人民軍報は、兵士が運転中にしてはならない行為、運転してはいけない車などを事細かく決めた規則を紹介している。

また商行為は、品位保持と政治問題に巻き込まれることを避けるため、一切禁じられている。ところが、軍の幹部が大々的なビジネスを行っていたことが発覚、摘発されたと平壌のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

摘発されたのは、朝鮮人民軍の第1旅団の建設部隊だ。金日成主席の遺体が安置された錦繍山(クムスサン)太陽宮殿、銅像やモザイク壁画、金正恩党委員長の特閣(別荘)などの建設を行ってきた部隊で、他と比べてさらに品位保持が強く求められてきた。

ところが、部隊の幹部は市内のトンジュ(金主、新興富裕層)の家のインテリアのリモデル工事を引き受け、部下に工事をさせて、外貨を稼いできた。

デイリーNKは2017年1月、この部隊がトンジュからの注文を受けて、住居のインテリアを韓国風にするビジネスを行っていると伝えているが、今までは問題にならなかったようだ。おそらく問題をもみ消すだけの強力なコネが存在したのであろう。


ところが、部隊所属の兵士が、市内の東大院(トンデウォン)区域のマンションのインテリア工事をしているときに見学にやってきた近隣住民が、よほど気に入ったのかこのインテリアと施工者のことを周囲に詳しく話してしまった。そこから話が上部に伝わり、問題になったという。

部隊は上部の検閲(監査)を受け、小隊長が生活除隊(不名誉除隊)に追いやられ、実際に工事にあたっていた兵士は批判書の提出を命じられた。ところが、工事を命令した大隊の幹部は、責任を追求されることがなかったという。

朝鮮人民軍は傘下の貿易会社を利用して、レストラン、マッサージ、サウナ、飲み屋など様々な飲食業、風俗業に進出している。そのことを考えると、内装業くらいで摘発されたのは気の毒とも言えよう。

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