フリーターから投資で利益35億円、テスタ氏が培った「デイトレードの勝ち筋」

「貯まるから増やすへ」。投資に挑戦したいが、何から手を付けてよいのかわからないという初心者から、腕に自信がある中上級者までを対象に、わかりやすく投資を語り合う連載「[みんなの投資広場]」(https://media.moneyforward.com/series/91)。

今回はデイトレードから投資を始め、10数年で利益35億円を稼ぎ出した、テスタ氏に話を聞きました。


なぜデイトレを選んだか

――テスタさんは学校卒業後フリーターを振り出しに、そこから利益35億円の大投資家に駆け上がりました。それだけの才能がありながら、なぜフリーターの道を選ばれたのか、そして投資家に転身されたのでしょうか?

僕の場合、両親がふたりとも公務員で、仕事も生活もすごくかっちりしていたんですね。ところが、僕はそうしたかっちりした生き方は「向いてない」と学生時代に悟って、就職活動もしないでフリーターになりました。フリーター生活をしているうちに自営業を始めてアルバイトが雇えるくらいになり、まとまった貯蓄もできました。

売上をこまめに入金していると、銀行から「投資信託で資産運用しませんか」と勧誘の電話がかかってきました。「投資信託はなんぞや」と参考資料を探しに書店に行き、並んでいた株式投資の本に目を通すと「これは面白そうだな」と興味がわいてきました。

――それまでは株式投資にはまったく興味がなかったのですか?

株式投資は専門的なプロしか入れないギャンブルのような世界だと思っていたので、遠い存在でした。デイトレーダーという言葉ができたばかりの頃で、個人投資家のブログもたくさん立ち上がっていました。株の利益で暮らしている人の本やブログを読みあさって「普通のサラリーマンだったような人が安定してかせいでいるし、自分にもできるかもしれない」と思ったのがデイトレードを始めたきっかけです。

――なぜ中長期投資ではなくデイトレーダーを選んだのですか? 仕事をやめなくてはならないのでリスクも大きいと思いますが。

デイトレを選んだのは、損失を出すことが怖かったからです。デイトレは翌日に資金を持ち越さないので、何かのショックでニューヨークの株価が急落しても、とんでもない決算が出ても翌日に大きな損失を被ることはありません。がんばって貯めたお金をよくわかっていないことに賭けるわけなので、すごく慎重に考えました。

――なるほど。最初の頃の成績はどうでしたか?

最初の2カ月は負けていました。まわりに投資家の知り合いがいないので、誰も教えてくれない。どうすればいいのか本やブログで調べるしかありませんでした。プレッシャーで体調が悪く吐くこともありました。その頃が投資家生活の中でいちばん地獄でした。

――確かに初心者がいきなりマイナスを背負うのは恐怖ですね。どのようにして地獄から抜け出したのですか?

毎日、とにかくマーケットを見て考えてトレードすることを繰り返していると、だんだん成績が良くなってきて、3カ月目にやっと10万円くらい利益を得ることができました。

初めて勝ったことが自信にもなって、それから成績が伸びていくようになりました。

銘柄ごとのクセをつかむ

――何かノウハウを見つけたのですか?

初めて勝てたのは、板を見ていてある銘柄の動きに特徴があると気が付いたからです。

今の銘柄は1ティック1円とか10円ですが、当時100万円台の銘柄は1万円単位だったんですよ。たとえば株価100万円の銘柄だと、買い板は次が98万円、95万円、売り板は106万円、110万円で並んでいます。

板はスカスカで売買が成立するのかと見ていたら、たまに106万円がパッと買われていたんですね。安くはなくても商いが薄いから、買いたい人は上を買うしかない。2~3日に1回しか約定しないけど、それでも買う人がいることがわかりました。

そこで100万円で買い注文を出して買えたら、今度は売り板の106万円に置いて売り注文を出したら106万円で買ってくれる人がいるんです。3日かかっても1日あたり2万円の収益です。全然約定しない日もあればボコッといくつも約定する日もあって利益をつかみました。自分なりの初めての攻略法でしたが、月にせいぜい10万円、20万円をかせぐのが限界。それでもデビュー当時は負けないこと、プラスにすることが一番大事だったので、そこに行きつきました。

――株で勝つには自分なりの攻略パターンを見つけることが必要なんですね。

そうです。結局、株取引で勝つには、人よりもマーケットや銘柄についての知識や動き、クセをよく知っていること、優位性のあるところに資金をはり続けるしかありません。初期の頃は、優位性をもてる場面や攻略法がないかと探し回っていました。

――デイトレードのコツは? やはり値動きの大きい銘柄を追いかけるのですか。

もちろん、デイトレードでは株価が大きく動いてくれないと困ります。

たとえばA社で何か事件が起きた時、良くも悪くも決算でサプライズが起きたときには、出来高を伴って上か下へ大きく動くと同時にA社を保有する投資家が大きく入れ替わります。

結果として、それまでA社を見ていた投資家の優位性はなくなり、全員が新しいプレーヤーになります。その日から誰よりもA社のことをウォッチしつづければ、自分がいちばん値動きの特徴を知っている存在になるので、どんどん優位な立場で売買ができるようになります。

フワッとした気持ちで参加する人は、その場その場の値段や板、チャートの動きだけを見て判断していますが、銘柄によっては、それだけではわからないクセがあるんですよ。それをつかむことを考えながらいつも取引をしていました。

中長期を始めた理由

――クセを見つけた株はとことん追いかけるのですか?

そうです。同じ銘柄で1日に600回売買したこともあります。毎日、毎日、追いかけて動きがなくなるまで追い続けます。

――投資を始めてから6年目の2010年には資産が1億円を超えました。

1億円を超えたときが株式投資をしていていちばんうれしかったですね。個人投資家のみなさんでも、とりあえず1億円を目標にしている方が多かったし、1億円以上がカリスマと呼ばれていた時代でしたから。始めたときは、まさか自分がそこまでいけるとは思っていませんでしたが、9千万円を超えたときから「いけるかな」と自分の中でカウントダウンを始めて、ゴールしたときは達成感がありましたね。

――数年前からデイトレから中長期投資に軸をうつされましたが、その理由は?

中長期投資をやりたかったわけではありません。本当にいやいや始めた感じなんです。デイトレでは1日何億円も動かせるような銘柄はないので、1億円を3倍、4倍に増やすことは難しい。資産が10億円、20億円と大きくなると、デイトレでは効率的にはかせげなくなるんですよ。資産が増えることがモチベーションなので、中長期投資をするしかなかったんですよ。

――デイトレと中長期の利益の比率はどのくらいですか?

利益から言うと、9:1で中長期のほうが大きいですね。

――中長期を始めた頃から資産が急激に増えていますね。

投資している資金が増えたからです。資産に対する利益率は、デイトレの頃は100%とかとっていましたけど、ここ数年は何10%しかとれていません。資金が大きくなれば利益率が減っていくのは仕方がないけど、金額ではもちろん大きくなっています。

やっていることはコツコツと優位性がある銘柄にコツコツとはっているだけで、元本が大きくなったから資産が増えているという感覚です。


テスタさんインタビューは後編に続きます。

(取材協力・松井証券)

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