引っ越しをする時に、どうしても出てくる不要品。それを専用のダンボールに詰めて送るだけで、楽天のフリマアプリ「ラクマ」に代行出品してもらえるサービスが始まりました。
その名は「フリマ引越」。サービスを始めた狙いは、どこにあるのでしょうか。11月25日に開かれた発表会の内容から探ります。
料金はどのくらいかかる?
フリマ引越は、GLIDE(東京都新宿区)の引っ越しシェアリングサービス「Hi!MOVE(ハイ!ムーブ)」、トランク(東京都渋谷区)の宅配収納サービス「カラエト」と、楽天の「ラクマ」が連携したサービス。3社のサービスを組み合わせることで、引っ越しの見積もりから不要品の「ラクマ」への代行出品まで、ワンストップでできるのが特徴です。
ユーザーはHi!MOVEのウェブサイトで引っ越しを申し込む際に、フリマ引越を同時に申し込むことができます。専用のダンボールがカラエトから届いたら、出品したい不要品を入れて返送。カラエトの持つラクマのアカウントで代理出品してもらえます。
出品時に必要となる商品の写真撮影や商品名・説明の入力などは、カラエトが担当。購入者とのメッセージのやり取りや、発送作業もすべて代行してくれるので、多忙になりがちな引っ越しのタイミングでも、手間をあまりかけずに不要品を整理できる、というわけです。
料金は、代行送料(一律880円、税込み、以下同)と、ラクマでの売上金から代行送料を除いた金額の3割。ラクマに出品された月から翌月末までの期間(最大2ヵ月)は、取り引きが発生しない場合は費用がかかりません。
しかし、売れ残ったアイテムは出品が終了して、自動的にカラエトに移行されます。移行後1ヵ月は無料期間ですが、それを超えると利用料として月額550円が発生。自宅へ返送を求める場合は、送料880円が発生する仕組みです。
新サービスを始めた狙い
このサービスを始めた楽天側には、どのような狙いがあるのでしょうか。ラクマ事業開発の土屋信博シニアマネージャーは、家庭にある不要品をラクマの市場に取り込む狙いがあるとして、「家に眠っている不要品が顕在化する、引っ越しというタイミングに目をつけました」と説明します。
経済産業省の調査によると、過去1年間に家庭で不要になった製品の推定価値は7兆6,254億円。それに対し、リユース市場は2兆1,000億円、フリマアプリ市場は約6,392億円にとどまっています。
また、フリマアプリを利用していない人の多くは、出品や配送、取り引きの手間や不安がネックになっているそう。同サービスでは、それらを取り除くことで、今までフリマアプリに出品していなかった層からの出品も期待できるといいます。
ターゲットは1LDKに住む単身者を想定。カラエトのユーザーは30代女性が多く、マンション住まいがほとんど。預けられているモノは、洋服、コート、ブーツなどファンション関連が60%を占めています。サービス連携により、ラクマへのファッションアイテムの出品増加を見込んでいます。
フリマアプリ各社が出品数を増やすためにさまざまなキャンペーンを打つ中、引っ越しのタイミングに着目したラクマ。今までアプローチできなかった層の持つ商品を、掘り起こすことができるでしょうか。