日韓関係正常化へ両政府ともに賢明な対応必要

 朝鮮半島の安定と北朝鮮対応で日米韓3か国連携が重視されるなか、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)延長の背景をめぐり、日韓両国の政府情報に食い違いが生じている。いずれかの政府が国民への面目を保つために事実を歪曲して発表したとみられるが、日韓関係正常化への動きに悪影響を与えることが懸念されている。両政府ともに賢明な対応が必要。

 日本政府は徴用工問題を背景に韓国に強い姿勢を堅持していると言わざるを得ない立場にあるためか、菅義偉官房長官は25日、韓国大統領府が日韓合意内容を意図的に日本側が歪曲し発表したので抗議し、日本政府は謝罪したとの主張には「政府として謝罪した事実はない」と否定した。

 一方、聯合ニュースは韓国の複数の政府消息筋情報として「GSOMIA終了を条件付きで延長する決定をしたことに関して、韓国に輸出規制関連の対話を提案する際、輸出規制の撤廃までに約1か月程度の時間を要する、と言及していた」と25日夕の電子版で報じた。かなり具体的な日本側の説明内容だ。

 また別の消息筋の話として「GSOMIA終了が近づいた時点で日本側が輸出規制について議論しようと先に提案してきた」と日本から先に提案があり「輸出規制を撤回するのに、ある程度の時間が必要と言及した」とも伝えた。

 安倍晋三総理はGSOMIA延長となった22日の会見時に「北朝鮮への対応のために、日韓、日米韓の連携協力は極めて重要。それは繰り返し申し上げてきた。韓国もそうした戦略的観点から判断したのだろう」と韓国が一方的に姿勢を変えた旨の発言をしていた。

 この発言などを受け、韓国は「メディアに報じられた安倍首相の発言が事実なら極めて失望する。日本政府の指導者として果たして良心の呵責を感じずに言える発言なのか、問わざるを得ない」と強く問題視していた。その後、大統領府は外交ルートを通じて日本政府側から謝罪を受けたと説明していた。(編集担当:森高龍二)

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