自転車保険 市民に義務化 富山市議会  安全利用へ条例検討

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 富山市議会は、自転車で人身・物損事故を起こした際、被害者に賠償するための「自転車保険」への加入を市民に義務付ける条例の制定を検討する。全国で事故を起こして高額の賠償責任を負う事例が相次ぐ一方、県内の保険加入率は低い。条例で加入を促し、市民の安全意識を高める。実現すれば県内自治体では初めて。提案した自民党は2019年度の制定、20年度の施行を目指す。 (政治部・小林大介)

 自民が25日の市議会厚生委員会で、「自転車安全利用促進条例」の案を示した。全国の条例と同様、保険に未加入でも罰則はない。

 自転車利用者の保険加入は、兵庫や大阪などの9府県と、名古屋や京都などの6政令指定都市が条例で義務付けている。

 au損害保険(東京)の18~19年の調査では、加入率が最も高いのは兵庫県の71.5%で、義務化した地域が上位6位を占めた。富山県は34.5%で都道府県では下から2番目。同社は義務化が加入を促しているとみており、国は自治体の条例制定を後押ししている。

 自転車事故を巡っては、近年、加害者に高額な賠償請求が命じられる判決が相次ぐ。13年には、小学生が起こした人身事故で、神戸地裁が保護者に9500万円の支払いを命じている。

 また、電動自動車やサイクリング向けのロードバイクなど、スピードの出やすい種類が普及。スマートフォンを見ながら運転し、歩行者とぶつかる事故も全国で増えている。

 県内の自転車事故は18年は157件で減少傾向だが、ひとたび事故を起こせば重い責任を負う可能性がある。富山市は公共交通を軸にしたまちづくりを進めており、市議会の自民は自転車利用者の増加も予想し、議員提案の条例で義務化を目指すことにした。

 自転車保険は自動車保険や傷害保険のセットになっているものも含め種類が多い。条例案ではどれに加入してもよいとし、加害者の経済的な負担を軽減し、被害者救済にもつなげる。ヘルメット着用の努力義務化や、自転車の安全な利用に向けて市や民間事業者などが果たすべき役割も盛り込みたい考えだ。

 案の作成に携わった松井邦人市議は「事故の危険性を再認識し、万が一に備えることで、皆が安全に乗れるようにしたい」と話す。