来月2日から保険診療 がんゲノム医療で三重大病院

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【記者会見に臨む伊佐地病院長(左)と中谷科長=三重県庁で】

 三重大付属病院は25日、がん細胞の遺伝子を網羅的に調べて患者ごとに最適な薬を選ぶ「がんゲノム医療」で県内唯一の拠点病院に指定され、12月2日から保険診療を開始すると発表した。既存の治療法が効かない人に新たな道を切り開くことが期待されている。

 がんゲノム医療では、患者のがん細胞の遺伝子情報を解析。専門医や臨床検査技師などでつくる専門家チーム「エキスパートパネル」が分析結果を踏まえて治療方針を決定する。一度に多くの遺伝子を調べられ、最適な薬が早く見つかる可能性が高くなる。

 厚生労働省は昨年4月までにがんゲノム医療の提供施設として全国11カ所を「中核拠点病院」、156カ所を「連携病院」に指定。迅速に検査を進めるため、今年9月に三重大付属病院など全国34施設を中核と連携の中間に当たる「拠点病院」に指定した。

 同病院は平成29年からがんゲノム医療の自由診療を開始し、年間20―30件の実績がある。厚労省から拠点病院に指定されたことを受け、遺伝子検査から専門家による治療法の検討までのがんゲノム医療を単独で完結できる体制になった。

 厚労省は6月から遺伝子検査に公的医療保険を適用。同病院の自由診療では1回40万円ほどかかったが、保険適用で高額医療補助制度を使えば患者の自己負担は10万円ほどで済むという。既存の治療法が効かない患者などが対象で、患者全体の約1%以下とみられる。

 県庁で記者会見した中谷中ゲノム診療科長は「今まで治療を諦めていた患者さんに広く選択肢を提示できる」と強調。県内でがん診療を担う他の病院とも連携する方針で、伊佐地秀司病院長は「県内のがんゲノム医療を推進し、患者さんを救いたい」と語った。