パは西武・山川、セは巨人助っ人… 指標から導き出す真の長距離打者は誰か?

西武・山川穂高【写真:荒川祐史】

300打席以上の選手でセ1位は巨人ゲレーロ、パ1位は西武山川だった

 打者の長打を示す指標には長打率(SLG=Sluggimg Average)がある。「塁打数÷打数」で導き出されるが、長打率は打率を含むため、打率の高い選手が上位に来る傾向にある。そこで、これを基に純粋に長打の比率が高い選手を導き出すために考案されたセイバー系の指標がIsoP(Isolated power)だ。

 IsoPは、「長打率-打率」という簡単な計算式で導き出せるが、長距離打者を評価する指標として一定の信頼性がある。2019年の両リーグの打撃成績を基に、IsoPのランキングをしてみよう。

300打席以上の打者のIsoP10傑。

○パ・リーグ

1.山川穂高(西).284(43本塁打 長打率.540 打率.256)
2.ブラッシュ(楽).279(33本塁打 長打率.540 打率.261)
3.グラシアル(ソ).276(28本塁打 長打率.595 打率.319)
4.デスパイネ(ソ).261(36本塁打 長打率.520 打率.259)
5.浅村栄斗(楽).244(33本塁打 長打率.507 打率.263)
6.中村剛也(西).242(30本塁打 長打率.528 打率.286)
7.レアード(ロ).235(32本塁打 長打率.483 打率.248)
8.ロメロ(オ).234(18本塁打 長打率.539 打率.305)
9.松田宣浩(ソ).223(30本塁打 長打率.483 打率.260)
10.吉田正尚(オ).221(29本塁打 長打率.543 打率.322)

 2年連続本塁打王の山川が1位。ブラッシュ、グラシアル、デスパイネと外国人選手が続く。今季のソフトバンクは故障者続出だったが、長打力のある2人の外国人が打線を支えたことがわかる。9位の松田宣の貢献度も高かった。

 楽天は昨年18本塁打の田中和基がチーム最多。IsoPも.194のペゲーロがトップだったが、今季はブラッシュ、浅村という新戦力が高いIsoPを記録し、中軸で活躍した。

○セ・リーグ

1.ゲレーロ(巨).289(21本塁打 長打率.526 打率.237)
2.山田哲人(ヤ).288(35本塁打 長打率.560 打率.271)
3.ソト(De).285(43本塁打 長打率.554 打率.269)
4.バレンティン(ヤ).274(33本塁打 長打率.554 打率.280)
5.坂本勇人(巨).263(40本塁打 長打率.575 打率.312)
6.村上宗隆(ヤ).250(36本塁打 長打率.481 打率.231)
7.バティスタ(広).244(26本塁打 長打率.513 打率.269)
8.筒香嘉智(De).239(29本塁打 長打率.511 打率.272)
9.福田永将(中).232(18本塁打 長打率.519 打率.287)
10.鈴木誠也(広).230(28本塁打 長打率.565 打率.335)

 300打席以上ではゲレーロが1位。今季は一時期活躍したものの不振だった時期もあった。すでに巨人はMLB88本塁打のジェラルド・パーラを獲得。ゲレーロは残留できない見込みだが、この長打力は捨てがたいところだ。

 2位は山田哲人、3位は2年連続本塁打王のソト。新人王候補の村上は6位につけている。18本塁打の福田が9位にランクインしているのも注目だ。

 いつの時代も長打力がある選手の数は限られている。IsoPが高い選手は、チームの主軸としてペナントレースを左右する力を持つのだ。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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