B-Chat『開業プランニングコンテスト』の取り組み 〜大阪学院大学〜

大阪学院大学は1940年(昭和15年)、経理専門学校として大阪で最も古い歴史を有する『関西簿記研究所』をルーツとして誕生しました。開学以来「教育と学術の研究を通じ、広く一般社会に貢献し、且つ人類の福祉と平和に寄与する視野の広い実践的な人材の育成」を建学の精神に掲げ、一貫した実学教育で広く社会に貢献する人材を輩出してきました。

時代に即した大学独自の取り組みとして注目されているのが『ビジネス・チャット(B-Chat)』。変化するビジネス社会を生き抜く力を養うために、各方面で活躍する企業経営者や事業家の方々から生きたビジネススキルを直接学べる、学部横断型の学生支援プログラムです。『B-Chat』を構成する柱のひとつ、『開業指南プログラム』のスペシャルプログラムとして、学生を対象とした『開業プランニングコンテスト』が本年も開催され、法学部法学科の学生が見事優勝に輝きました。リアルな起業を支援する他に類を見ない取り組みについて、同大学社会連携室の南 智幸主任、本年度コンテストの優勝者である学生の藤井さんにお話をうかがいました。

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南主任「B-Chatは商学部が働きかけ、2015年4月から大学全体のプログラムに広がりました。現在は社長直伝プログラム/ステキ☆塾/開業指南プログラム/資格マスタープログラム/地域活性チャレンジの5つの柱からなる、ペンタゴン型の学生支援プログラムに発展しています。『開業指南プログラム』は、その中でも事業を始めたいと考えている学生を対象に、実際のノウハウを学び、将来の目標に近づく支援をするプログラムです。飲食店やアパレルショップのオーナー、ネットビジネスの起業家などによる開業ノウハウを学ぶための講座を定期的に開催するとともに、年に1度のスペシャル企画として企業経営に携わる本学卒業生を主な会員とする組織『大阪学院フェニックス倶楽部』と連携し、開業プランの実現を支援する『開業プランニングコンテスト』を開催しています。」

『開業プランニングコンテスト』は、「将来、事業を始めたい」「自分の得意分野で成功したい」などの夢を持った学生が、若い感性と本学での学びをベースにオリジナルの開業プランを描き、事業としての独自性や実現性を競う年1回の学内コンテストです。優勝者には、「大阪学院フェニックス倶楽部」がメンター役を務めるなど、夢の実現を後押しするという本格的なもの。プランの審査も、大阪学院フェニックス倶楽部の会員が経営者としての厳しい目線でじっくり時間をかけて行います。

2017年に始まったコンテストが第3回を迎えた今年、見事優勝者として選ばれたのは法学部法学科4年生の藤井 達也さん。「働くこと」にフォーカスしたブログを立ち上げ、学生ライターとしても活動する藤井さんが選んだ企画テーマは「複業」。会社員として本業を持ちつつWEBなどでライター活動を行う複数の人が、クラウドを通じて仕事をシェア・受発注できる、コミュニティビジネスの事業計画を立案しました。

藤井さん「コンテストへの応募は昨年度に続き2回目です。本コンテストでは優勝者を決めるファイナルプレゼンテーション前に、審査員である大阪学院フェニックス倶楽部の経営者の方々から、2回にわたる事前審査・指導を受けられます。この指導はビジネスとしての実現性を経営者目線でシビアに問うもので、昨年度は自分のプランの甘さを指摘され、優勝には至らなかったのです。今年はプランを綿密に練り上げ、満を持してリベンジ! それでも、採算性は絶対条件として、なおかつそのビジネスが社会にどうインパクトを与えられるのかという問いかけをいただき、自分に欠けていた視点に気づかされました。」

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先輩経営者による事前指導風景[/caption]

審査委員長を務める大阪学院フェニックス倶楽部 開業指南委員長の庄野 隆二氏(庄野電気工事株式会社 代表取締役社長)は「審査では、投資してもいいと思える、時代のニーズにあった商いかという観点を重要視しています。藤井さんの取り組みは、SNSなどで多くの人へつながりを広げて確固たるコミュニティーを形成すれば、働き方の変化など、今後の社会問題を解決する事業へ昇華できる可能性を感じました。」と語り、今後もメンターとして手厚い支援を予定しています。

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藤井さんは1年生の時にB-Chatの地域活性チャレンジに参加したことが、コンテスト出場につながったといいます。福島県の地元企業で1か月間インターン活動を経験して起業に興味を持ち始めたところに、B-Chat担当の南主任から「開業指南プログラムで開業プランニングコンテストという催しがあるけど、どう?」と声をかけられたのが応募のきっかけとなりました。法学部で勉強するかたわら大学のサッカー部に所属していた藤井さんですが、学生の間に全く違う世界に触れて視野を広げたいとの思いから、コンテストへの挑戦を決めました。何より現役バリバリ、そうそうたる経営者の面々に直接自分のプランを評価してもらえることに大きな魅力を感じたそうです。

藤井さん「入学時に法学部を選んだのは、人の役に立つ仕事がしたくて公務員をめざそうと思ったからですが、大学生活の中でB-Chatに参加しコンテストに出場したことで、未来の選択肢が大きく広がりました。就活して企業人になるのもありだし、ゆくゆくは自分で事業やショップを起業するのもありだと思うようになりました。大阪学院フェニックス倶楽部の方々はビジネスプランの指導だけでなく、人生の先輩として「生き方」についても熱いメッセージをくださいます。貴重なアドバイスを多数いただく中で、大学を卒業して社会人となる道はひとつじゃないと気づきました。本コンテストや開業指南プログラム、B-Chatのことをよく知らない学生にも、当たり前の日常から一歩踏み出し、自分の可能性を広げるためにどんどん参加してほしいですね。」

南主任も、「開業指南プログラムをはじめ、B-Chatはすべて学生が自主的に参加する活動で、大学側はあくまで多様な選択肢を提供する立場です。参加した学生からはアンケートで満足度や改善点をフィードバックしてもらい、次回のプログラムに生かします。私たちの信念は『大学生活の4年間で人生は変えられる!』ということ。大阪学院大学は、学生一人ひとりが『知らない自分に出会える』環境を創り出すことを念頭に、大学自身も常に新しい試みにチャレンジしています」と語ります。

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学生の意見は運営側の大切な原動力[/caption]

常に時代の潮流を読み、学生のための「生きた学び」を追求し続ける大阪学院大学。関西で経営者として活躍する多くの卒業生を有し、深いつながりを持つ大学だからこそできる試みが「人」と「志」とをつなぎ、次の世代の価値ある人材を育む豊かな土壌となっています。

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