交流の大切さ確認 中南米の日系人らシンポ

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課題などを語り合う中南米の和歌山県人会の代表ら(25日、和歌山県白浜町で)

 和歌山県の県民や県出身者でつくる「県中南米交流協会」が25日、白浜町内のホテルで、シンポジウムと講演会を開いた。県内にルーツを持つ中南米の日系人が集まって各県人会の現状や課題などを語り合い、交流の大切さを確認した。

 和歌山市で24日にあった県人会世界大会(実行委員会主催)の関連事業で、JICA関西共催、県と紀伊民報後援。シンポジウムには約80人が参加し、「中南米・多文化社会を生き抜いたパイオニアたち―未来への連携にむけた語らい」をテーマに語り合った。

 ブラジル県人会の谷口ジョゼ眞一郎会長やペルー県人会の斎藤カルロスさんのほか、パラグアイやアルゼンチン、メキシコなどの県人会の代表らが各国での日系人の状況や県人会の活動内容などを報告した。日本人が職を奪うとして反日運動が起こり、国外追放された人もいたことや、県人会の会員が半数以下になっていることなども紹介された。

 そのほか「1世が亡くなり、2世、3世になるとルーツの場所も親戚も分からなくなっている場合がある」として、新しい絆をつくり、国を越えて県人会同士が交流することの必要性を訴える意見が出た。

 司会を務めた和歌山大学の東悦子教授が県人会の課題として高齢化を挙げたことにいずれの県人会も同調。日本語を話せない日系人が増えていることも挙げた上で、日本語を学ぶ人に奨学金を出すことを求める意見が出た。県の職員にポルトガル語ができる人を一人でも雇ってほしいという意見もあった。

 東教授は「ルーツの地に思いを寄せて交流を続けることは必要。移住した人の歴史や日系人社会の状況を日本や中南米の次世代に伝えることも重要だと思う。各国の県人会や和歌山の協会が架け橋となり、長く交流を続けることができればと思う」と訴えた。

 シンポジウムの前には、田辺市三栖地区出身の平上文雄さん(70)が「ブラジルの大地に花開いたりんご『ふじ』と私の半生」と題し講演した。ブラジルのリンゴの約7割を生産し、個人のリンゴ農家としては世界一といわれている。現在はブドウも育て、ワインも造っているという。22年ぶりの帰郷を喜び、「学校の勉強はできなかったが、それでもブラジルでやってこれた。ブラジルに行って頑張ってみようという若者がいれば、言ってください」と呼び掛けた。