【フカセ釣り超入門】元釣具屋が道具・仕掛け・エサ・釣り方を徹底解説 撒きエサとウキを用いてチヌやグレを狙うフカセ釣り。非常に根強い人気がある反面、ビギナーの方には少し難しく感じるかもしれません。そこで、元釣具屋がウキフカセ釣りの道具・仕掛け・エサ・釣り方を徹底解説します!

フカセ釣りは楽しい!

筆者が釣具屋だった頃、「一番好きな釣りって何?」という話を色んな方としました。

そして、最も多く返ってきた答えが「フカセ釣り」。普段はルアー釣りしかしないスタッフでも、シーズンになればフカセ釣りに行く人が多くいました。

今回は、そんなフカセ釣りについて解説します。まだやったことがない方は、ぜひ参考にしてチャレンジして下さい。絶対にハマります!

フカセ釣りとは

フカセ釣りとは、軽い仕掛けを潮流に乗せて流しながら魚の口元に刺しエサを運ぶ釣りです。

じつはフカセ釣りにも数種類の釣りがありますが、今回はウキと撒きエサを用いたウキフカセ釣りについて解説します。

フカセ釣りのターゲット

フカセ釣りで釣れる魚は多種多様ですが、その中から代表的なターゲットを紹介します。

クロダイ(チヌ)

磯はもちろん、堤防でも大型を狙えるのがチヌ。年中釣ることができますが、ハイシーズンはノッコミ(産卵期)を迎える春です。

身近な釣り場でパワフルな引きを味わえるため、根強い人気があります。綺麗な海域の個体であれば食味も良いですよ。

メジナ(口太グレ)

堤防でも釣れますがサイズは小さく、磯がメインの釣り場です。海の状況変化に非常に敏感なことが特徴。

この繊細なグレの行動を読むのが面白く、圧倒的な人気を誇ります。また、引きが強くてスリリングなやり取りを楽しめ、食味の良さも人気の理由です。

寒グレという言葉がある通り、冬季がハイシーズンです。

クロメジナ(尾長グレ)

エラ蓋の黒い縁取りと、長い尾が特徴の尾長グレ。口太グレよりも高い海水温を好むため、分布域はやや南方に寄ります。

引きはパワーとスピードで口太グレを圧倒し、歯も鋭いので大型個体をキャッチするのは至難の技です。そのため、大型の尾長は全磯釣り師の憧れでもあります。

冬季も狙えますが、秋や春も好シーズンです。

マダイ

いろんな釣り方で狙えるマダイは、フカセ釣りでも釣ることができます。

中型程度であれば釣るのは難しくありませんが、大型個体になるとファーストランが強烈で手強い存在です。

グレやチヌよりも深場を好むため、釣れる場所はやや限られます。

フカセ釣りのタックル

他の釣りと比べると、道具の種類が多いイメージがあるかもしれません。フカセ釣りに必要なアイテムを紹介します。

竿

フカセ釣りには磯竿という釣竿を用います。磯竿の標準的な長さは5.3メートルで、フカセ釣りは仕掛けが長く、足元の障害物を避けるためにもこれくらいの長さが必要です。

号数は竿の硬さを指し、チヌ狙いであれば0.6〜1号、グレ狙いであれば1.2〜1.5号辺りを選択しましょう。

1.5号の磯竿を選んでおけば、ひとまず色んなフカセ釣りを楽しめます。

リール

2500〜3000番サイズのスピニングリールが用いられます。一般的にはレバーブレーキリールがよく使われますが、ルアー用のリールでも問題はありません。

レバーブレーキリールは、魚の引きで竿を伸されそうになった時に瞬時に糸を出し、竿を立て直せることが最大の長所です。

通常のスピニングリールでも十分使えますが、レバーブレーキリールがベストと言えるでしょう。

道糸

道糸(リールに巻く糸)は、ナイロン製のものが一般的です。チヌ・口太グレであれば、2号程度の太さを選びましょう。

PEラインも普及しつつありますが、ショックリーダーの結束などが必要でビギナーの方にはおすすめできません。

ハリス

ハリスはフロロカーボン製のものを使います。道糸の太さと同号数か、1ランク細い号数を選択するのがセオリーです。

ウキ

ウキを大きく分けると、棒ウキと円錐ウキの2種類があります。

チヌには棒ウキを用いることが多く、2B〜1号くらいの浮力を揃えておくといいでしょう。

グレには円錐ウキがよく使われ、0号〜1号程度の浮力がメインになります。

ガン玉

フカセ釣り使うオモリはガン玉と呼ばれるもので、非常に小粒です。

ウキの浮力に合ったガン玉を付けるのが基本で、BのウキにはBのガン玉をセットします。

G7〜1号くらいの重さを揃えていれば、大半の状況には対応できるでしょう。

鈎の大きさと形で、仕掛けの流れ方や魚の喰い、掛かり方が変わるので、鈎選びも大切なポイントです。

チヌ鈎は3号、グレ鈎は6号程度が標準的な大きさ。魚の状態に合わせるため、鈎は数種類持っておきたいところです。

ウキ止め糸

ウキ止め糸は、タナ(ウキ下の深さ)を決めるためのアイテムです。

サビキ釣りなどではウキ止めゴムも用いられますが、フカセ釣りにはウキ止め糸を選んでください。

からまん棒(ストッパー)

からまん棒は、ウキと仕掛けが絡むのを防ぐためのパーツです。ビギナーの方は絶対に付けましょう。

バッカン

撒きエサを入れておくための容器がバッカンです。36センチか40センチの規格が標準的な大きさ。

他の釣りに行く時には道具入れとしても使用できますよ!

シャク

撒きエサはシャクを使って撒きます。カップの大きさやシャフトの長さが色々ありますが、はじめはMカップの70センチシャフトがおすすめです。

フカセ釣りの仕掛け

「釣り人の数だけ仕掛けがある」と言っても過言ではありませんが、まずは代表的な仕掛けを覚えましょう。

特に半遊動仕掛けはウキ釣りの基本ですので、まずは半遊動仕掛けを覚えることがファーストステップです。

半遊動仕掛け

ウキ止めが付くことで仕掛けが落ちていくのが止まり、一定のタナを狙うことができます。

ウキ止めを動かすことで瞬時にタナを変えることができ、アタリも明確にウキに表れるため、ビギナーでも扱いやすい仕掛けです。

デメリットは、ウキ止めがズレると狙いのタナが変わってしまうことと、魚とタナが合っていないと釣れないことです。

全遊動仕掛け

ウキ止めを付けないため、刺しエサがどんどん落ちていく仕掛けです。幅広い層を探れるため、全層仕掛けと呼ばれることもあります。

メリットは、前述の幅広い層を探れることと、刺しエサを自然に漂わせることができる点です。魚が釣れる層がわからない時にも有効と言えるでしょう。

ただし、魚が釣れても釣れた層がわかりにくいことと、仕掛けを落としていくテクニックが必要なことが難点です。

フカセ釣りのエサ

フカセ釣りでは、エサも大切な要素です。刺しエサと撒きエサに分けて解説します。

刺しエサ

刺しエサは、チヌもグレもオキアミが基本です。チヌにはLサイズ、グレにはMサイズのオキアミが使われます。

オキアミはエサ取りに弱いことが弱点なので、そういった場合にはボイルオキアミ(湯がいたオキアミ)の出番です。

それでもオキアミが取られてしまう場合は、チヌ釣りではコーンやサナギ、練りエサ、グレ釣りではエビの剥き身などが使われます。

撒きエサ

撒きエサは、オキアミ3〜6キロに対して集魚剤1〜2袋を混ぜて作ります。オキアミを纏め、集魚効果を高めることが集魚剤の役割です。

チヌとグレでは集魚剤が異なり、チヌ用は底に溜まりやすい重め、グレ用は拡散性の高い軽めに設定されています。

ビギナーの方は、投げやすくなるようにオキアミを細かく潰してよく練るのがおすすめです。

フカセ釣りでの釣り方

釣り方の基本を流れに沿って解説していきます!

エサを撒く

エサを撒くことで魚が集まります。まずはこの動作から始めましょう。2〜3発シャクで撒きエサをポイントに撒きます。

釣り始めはなるべくたくさんのエサを撒いて、たくさんの魚を集めましょう。

仕掛けを流す

撒きエサの流れていく方向を見て海中の様子をイメージし、仕掛けを投入して撒きエサの中を仕掛けが流れるようにします。

フカセ釣りは仕掛けを流す釣りなので、流れる仕掛けのスピードに合わせて、リールから糸を少しずつ出しましょう。

アタリを取る

ウキが沈んだら、糸フケをとってアワセましょう! 早くアワセる必要はないので、しっかりウキが沈みきってからアワセます。

やり取り・取り込み

やり取りは竿をしっかり使って、竿の弾力で魚を弱らせます。ルアー釣りとは異なり、極力糸を出さないようにしましょう。

グレは障害物に逃げ込もうとする性質が強いので、手前に障害物がある場合は磯竿の長さを活かしてかわします。

魚が浮いてきたら取り込みです。タモで掬うと言うよりは、構えたタモに対して竿で魚を誘導するイメージで行ってください。

大事なのは「撒きエサとの同調」

フカセ釣りでたくさん釣るためのコツは、仕掛けと撒きエサを同調させることです。

海中は釣り人が想像している以上に色んな流れがあるので、海面の動きや撒きエサの流れ方を観察し、潮の流れを読むことが大切。

潮の流れを観察して、上手く刺しエサと撒きエサが同調するように仕掛けを送り込みましょう。

これさえできていれば魚は釣れるのですが、これが一番難しいところです。

フカセ釣りの上達は“釣りの上達”

フカセ釣りは常に周りの環境を観察し、海中の様子をイメージして戦略を立てていく釣りです。

フカセ釣りを始めれば海を見る目が鍛えられるので、他の釣りも上達しやすいと思います。

とっても奥が深い釣りですので、ぜひ参考にしてチャレンジしてみてくださいね!

筆者の紹介

tsuki

関西出身の元釣具屋。釣具店時代の知識を活かして皆様の役に立つ情報を発信していきます♪

釣りはいろんなジャンルをしていますが、その中でも好きな釣りはタナゴ釣り。

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