FIA-F2:手術後のリハビリに取り組むコレア「アクセルを十分に踏めるようになるまで戦うよ」

 FIA-F2ドライバーのファン-マヌエル・コレアは、8月31日にベルギーのスパ・フランコルシャンで行われたFIA-F2第9戦レース1の大クラッシュについて語った。当時の致命的な事故でコレアは重傷を負い、22歳のフランス人ドライバー、アントワーヌ・ユベールは命を落とした。

 コレアはアルゼンチンの『Mundo Sport』ラジオ番組で、オー・ルージュを抜ける際に、ジュリアーノ・アレジを巻き込む事故で発生したデブリの上を走ったと語った。その際、マシンのフロントが持ち上がり、操縦不能になったという。

「オー・ルージュを通過するとき、アレジのマシンのデブリの上を走り抜けてしまった。デブリがフロントホイールの下に入って持ち上がってしまったので、僕は直進することになった。僕がまっすぐにユベールのマシンに衝突したのは不運だった」とコレアは説明した

「すべて明確になっている。僕はFIAとミーティングを持った。あれは酷い不運による事故だった。4台から5台のマシンが巻き込まれ連続した長い出来事だった」

「僕が話した体験談は、FIAの報告と一致している。でも終わったことだ。調査があっても、僕が厳しい年を迎えるという事実は変わらない」

 大きな衝突だったにもかかわらず、コレアは事故の間意識を失うことはなかったと語っている。しかしその後、彼は肺に水が溜まるのを防ぐために、1週間集中治療室で人工的な昏睡状態に置かれた。

「奇妙だった。僕は衝突では意識を失っていなかったから。(クラッシュの)衝撃は70Gだった。医師たちに、僕は意識があると言ったけれど、彼らは信じなかったよ!」

「衝突する前、僕は筋肉を硬くして強張らせたが、それが助けになった。僕は自分でマシンから降りたかった。僕は事故の間ずっと意識があったからね」

「プロのアスリートであることが大きく役立った。骨や身体だけでなく、僕が患った肺の機能停止についてもだ。僕は2週間、昏睡状態で過ごした。身体をそうした状態に置かなければ助からなかっただろう」

 コレアの状態が安定した後、医師団は17時間におよぶ足の手術を行なった。コレアは現在身体のリハビリテーションを行なっているが、今後さらなる手術が待ち受けている。

「基本的に医師たちは僕の右足を再建してくれた。左足の怪我はずっと軽かったので、右足だけの手術で十分だった」

「このプロセスには1年かかる。さらに手術が予定されているし、回復後にはリハビリがある。12月23日には(右足の)次の手術を受ける。骨が足に届くようになるんだ」

「その次のステップは、新しい骨が強化されて体重を支えられるかどうかということだ。その後、できるだけ回復を図るために金属製のサポート器具が取り外される。そしてどれだけ痛みがあり、どれだけの可動性があるかを評価して、他の手術が必要か様子を見るんだ」

 20歳でアメリカ出身のコレアは、彼の右足は完全には回復しないかもしれないことを認めた。

「残念ながら、足は100パーセントには戻らないかもしれない。でも僕はアクセルを踏むのに十分なほど回復できるように戦うよ!」

「当初、医師たちは2年かかると話していた。でも僕の身体は何もかも早くて、回復も骨の再生も普通より早いんだ。できれば1年のうちに、あとどれだけ回復に時間がかかるのか、それとも復帰できるのか、完全に分かるといいな」

「すべてを受け入れるのに数週間かかった。病院の鎮痛剤のせいで、理解するのが難しかった……。そして受け入れるのに時間がかかった。でも僕の姿勢は現実的だ。起きたことは変えられないので、自分がベストを尽くすしかない」

 コレアは、起きたことすべてについてどう感じるか尋ねられ、「もちろん悲しかった」と答えた。「アントワーヌは良い友人だった。でも今は自分のためだけではなく、彼のためにも復帰しなければならないと感じている」

 そしてこうしたすべてのことにもかかわらず、コレアは将来F1でレースをする希望を諦めていない。

「事故がF1への夢を消すことはない。事故によって、夢のためにリスクを取りたいのか考えさせられた。そして僕はリスクを取り続けたいと決心した。なぜならそれが僕の夢だからね」

「何も残されていないけれど、戦って続けていくんだ」

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