豚コレラワクチン 28日 東吾妻で空中散布実験へ 自衛隊が協力

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 江藤拓農相は26日の閣議後の記者会見で、豚コレラ(CSF)対策として野生イノシシ向けの経口ワクチン(ワクチン入り餌)を自衛隊のヘリコプターで空から散布する初の実験を、28日に群馬県東吾妻町の県畜産試験場吾妻肉牛繁殖センターで実施すると発表した。実験を踏まえた本格的な散布は12月以降に始める予定で、具体的な場所は自治体と協議して詰める。

 実験ではワクチンを散布する際のヘリコプターの適切な高度や速度などを確認し、効果的な散布方法を見極める。散布は防衛省の協力を受け、陸上自衛隊相馬原駐屯地の第12旅団のヘリコプターが行う。

 経口ワクチンの散布は感染したイノシシの生息地域が広がらないようにするのが狙い。これまではワクチンをベルト状に散布して感染拡大を食い止める「ワクチンベルト」の構築などを目的に、本県や長野県など計11県で手作業で埋めてきたが、農水省は空中散布も活用する。

 江藤農相はワクチンベルトを作る際に険しい山などがあった場合、ベルトに切れ目が生じる可能性を指摘。「(手作業が難しい)険しい山にも散布しないといけない」と述べた。

 山本一太知事は26日の定例会見で「実験はCSFの感染防止と国のワクチンベルト構築にも役立つので、県として全面的に協力したい」と発言。本県で実験が実施されることについては「全国有数の養豚県であることを認識していただいたのではないか」と指摘した。

 県は10月に、国から提供を受けた800個の経口ワクチンを藤岡市内の40カ所に散布した。5日後にワクチンを回収したところ、なくなるか食べられた痕があるワクチン数が計490個(61%)に上ったため、県は全体の6割をイノシシが接種した可能性があると発表している。

◎衛生管理 国の関与強化  豚コレラ(CSF)などの対策強化に向け、農林水産省が検討している家畜伝染病予防法改正案の概要が26日、分かった。都道府県が農家に対し衛生管理強化の勧告や命令を迅速に出す仕組みに加え、これらの勧告や命令について国が都道府県に指示できるといった国の関与を強める制度の導入を調整している。

 アジアで猛威を振るうアフリカ豚コレラ(ASF)の侵入時は発生農場周辺の健康な豚も対象とする「予防的殺処分」を可能とし、口蹄疫(こうていえき)に限ってきた措置を拡大する。来年の通常国会に改正案を提出する方針だ。

 《豚コレラ(CSF)》 豚やイノシシに感染する病気。発熱や食欲減退などの症状が現れ、致死率が高いとされる。人にはうつらず、感染した豚の肉を食べても健康に影響はない。国内では1992年以降、未確認だったが、昨年9月に岐阜市内の養豚場で26年ぶりに発生し、各地に広がった。