NHK大河ドラマ『麒麟がくる』 歴史専門家たちが語る「川口春奈が代役で大成功」する、これだけの理由

画像は『麒麟が来る』公式サイトより

NHK大河ドラマ「麒麟がくる」の初回放送が2週延期されることが報じられました。沢尻エリカ容疑者の逮捕にともない、川口春奈が代役に起用され、1月5日放送スタートに撮り直しが間に合うかが、危惧されていました。

川口春奈が演じるのはどのような役なのでしょう。

歴史専門家が語る『濃姫』

本木雅弘演じる斎藤道三の娘で、長谷川博己演じる明智光秀と姻戚関係にある『濃姫』の役です。斎藤道三が治めていた美濃国の高貴な女性という意味で『濃姫』と呼ばれていましたが、名前は、『帰蝶』であったとされています。『帰蝶』が嫁ぐ織田信長役は染谷将太が演じます。

当初、沢尻エリカ容疑者の出演が決まった時はハマり役とメディアが報じていましたが、はたして、川口春奈とどちらが、『帰蝶』のイメージに合うのでしょうか。専門家の方々にご意見をうかがいました。

若き日の織田信長を描いた本格歴史小説『嵐を呼ぶ男!』(徳間書店)の著者の杉山大二郎さんは、

「帰蝶は、戦国の梟雄と恐れられた斎藤道三の娘にして、乱世を統一した織田信長の正室で、歴史ファンのみならず多くの日本人に親しまれてきた女性です。私が若き日の信長を描いた歴史小説『嵐を呼ぶ男!』でも、天下統一に奮闘する信長を影から支える優しい女性としています。気が強そうな沢尻エリカさんよりも、川口春奈さんの傷ついた男性を包み込んでくれるような物柔らかなイメージのほうが、帰蝶役として多くの国民に受け入れられるのではないでしょうか。これでますます来年の大河ドラマが楽しみになりました」

と語ります。

斎藤道三は“美濃のマムシ”と恐れられていたようですが、ミュージシャンで戦国評論家の奥村慎也さんは、

「一般的に知られているいわゆる『マムシの娘』としての帰蝶のイメージでは沢尻エリカはドンピシャの役です。しかし、元々帰蝶に関しての資料は少なく、どういう人物だったかというのは謎の多い人物、という事は今回の作品でオリジナルの帰蝶像を描くとすればキャラが完成している沢尻より川口春奈の方が面白いかもしれない。まぁ、結局は脚本家がストーリーをどう描きたいかによるんだろうけどね。俺としては同じ長崎出身として川口さんを応援したいぜ!」

とエールを送ります。

華やかさだけではない人物像

『光秀の言い分 明智光秀好きなので』(牧野出版)の著者の岳真也さん(日本文藝家協会理事)は、執筆にあたり、明智光秀関係の資料を多く検証なさったばかりです。

「あまり知られていないことだが、濃姫は斎藤道三と明智光秀の叔母・小見の方を両親とし、光秀の従妹といわれている。信長に劣らず、光秀も美形だったようで、濃姫もまた、相当な美人というイメージがある。性格などは不明だが、道三と小見の方の両方の血を受けついでいると考えると、芯は強くて、人当たりはやわらかく、しなやか……であればこそ、信長のような強烈な個性の持ち主と一緒にいられたのだろう。その濃姫の役柄として、沢尻エリカはバッと見、華やかだし、話題的には勝っているものの、ふさわしいとは思われない。その点、日本の最西端、長崎県五島生まれの川口春奈は『地味派手』とでもいおうか、ぴったりのような気が私にはする」

と語ります。

専門家3人とも、川口春奈がふさわしいとの回答、短期間での代役キャスティングは成功でしょうか。(文◎花苑スープ)

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