日本各地の神社に『香港の民主化を願う』絵馬が出現中 そしてその上に謎の「バツ印」付けてゆく者が…

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香港に乗じて台湾問題も……(筆者撮影)

観光地での落書き被害はいまに始まったことではないが、SNSが普及するとともにさらに被害は拡大した感もある。「石庭」で有名な世界遺産龍安寺(京都市左京区)の山門に意味不明な落書きをした44歳の男性が器物破損で逮捕された。

「創作意欲」だけではなかった京都の落書き

11月24日午後3時頃、男性は龍安寺の山門に、「我青龍 感謝朱雀 待たせたな白虎」などと落書きをし、現場を目撃していた観光客の通報で現行犯逮捕された。警察の調べに対し、「私は将来、神話やSFの作家になりたい。創作意欲がみなぎっていました」と供述しているという。青龍、朱雀、白虎ときて玄武が欠けているのはご愛敬だが、いずれにしても悪質であり、迷惑千万な話だ。

このいわく、“創作意欲みなぎる”落書きも迷惑な話なのだが、同じ京都ではつい先日、国際問題になりかねない落書き騒動が報じられている。11月20日の地元・京都新聞によると、京都市左京区にある世界遺産・清水寺の絵馬のなかで、香港の民主化デモを支持する「光復香港」などの願いが書かれたものに「✖」印の上書きを加えたり、「香港は永遠に中国のもの」と北京語で書き加えた落書きが複数発見されたというのだ。また同様の被害はおとなり奈良にある春日大社でも見つかっている。

他人が願いを込めた絵馬に落書きをするというのは、まさに神をも恐れぬ冒涜と言うしかないが、現時点では落書きの主が誰なのか、またどこの国籍なのかはわからない。もっとも、このニュースは海外でもレディット(Reddit)などのSNSを通じて拡散されており、その流れでは中国人による反デモ行為だろう、という見解が(圧倒的)多数派だ。

香港民主化支持の絵馬が日本全国に

この絵馬に対する不敬な落書きが増えている一因をたどってみると、実はSNSが一役買っているところがある。というのも、香港の民主化デモ激化とともに日本国内の神社で絵馬に民主化を支持する願いが多くなった。主として当事者である香港からの観光客の願い事と思われるが、以降、海外の華僑や日本人の支持者からの絵馬も散見されるようになったのである。そして、それがまたSNSを通じて海外に拡散されたのであるが、そのことによって“愛国中国人”が刺激を受けたことは想像に難くない。

この絵馬のトレンドは、世界遺産のように多くの観光客が訪れる場所だけではない。筆者の自宅の近くに「君の名は」で一躍有名になり、外国人アニメファンの聖地となった東京四谷・須賀神社があるが、小さな境内(本当に小さい)に奉納してある絵馬にも香港民主化支持の願いが散見されているくらいだ。

なんにしても他人の絵馬に落書きをするというのは言語道断であり、それがどこの国の人間であろうと許されることではない。それと同時に、一部の日本人が“他人事”のように思っている香港民主化と中国共産党による強硬な対応には、世界中の関心が高いということを忘れてはいけないだろう。(取材・文◎鈴木光司)