やじ発言者特定を断念 長崎市議会 性暴力訴訟巡り

 女性記者が長崎市幹部から性暴力を受けたとして長崎市を訴えた裁判に関連し、市議会一般質問中に「被害者はどっちか」と議員席からやじが飛び、女性側弁護士らが発言者の特定と謝罪を求めていた件について、長崎市議会は26日、発言者の特定を断念した。女性側弁護士に文書で今後報告する。

 やじは7月の定例会一般質問中に出た。女性に非があるような印象を与えたとして、女性側弁護士などが今月1日、発言者の特定と謝罪を佐藤正洋議長に要請。議会は会派ごとに当時の動画などを確認した。

 26日は各会派の団長会議が非公開であった。出席者によると、明政クラブは、発言者と疑われる議員がいたが、本人は強く否定し、特定に至らなかったと報告。他の会派では思い当たる議員がいなかったという。

 特定を断念した佐藤議長は、取材に「人を傷つけるやじや、品位のないやじは厳に慎むよう改めて議会に伝える」と語った。女性側弁護士は「発言したのに名乗り出ないのであれば、その議員の資質を疑う。これで幕引きを図る議会の姿勢も問題だ」と批判した。

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