医薬卸大手4社が談合の疑い 地域医療機構入札で公取委が強制調査

独立行政法人「地域医療機能推進機構」(JCHO)発注の医薬品入札を巡り、談合を繰り返した疑いが強まったとして、公正取引委員会は2019年11月27日、医薬品卸大手4社の本社など関係先を独占禁止法違反容疑で強制調査を始めた。捜査対象とされる数社は強制調査を受けていることを認めている。

刑事告発視野へ 調査対象の4社でシェア約90%

 今回の調査対象となったのは、最大手のメディパルホールディングス(以下HD)傘下のメディセオ、アルフレッサHD傘下のアルフレッサ、スズケン、東邦HD傘下の東邦薬品。関係者によると、メディセオなど4社は2018年にJCHOが発注した医薬品の一般競争入札を巡り、事前に落札業者を決めて受注調整を図った疑いが持たれている。

 JCHOは、旧社会保険庁から社会保険病院や厚生年金病院を引き継いだ独立行政法人が前身。57病院、26の介護老人保健施設などを運営しており、調達の効率化・費用圧縮のため、複数の病院が扱う医薬品については本部が一括調達する共同入札方式を採用している。入札は2年に1回で、落札者はJCHOと2年間の購入契約を結ぶことになっている。

 疑われているのはこの共同入札における受注調整、いわゆる談合で、JCHOが発足した14年のほか、16年、18年にあった入札では、今回調査対象の4社が受注を分け合う結果となっていた。年間受注規模が数百億円に上るとも憶測されるこの共同入札案件は、大手4社にとっても全体の売上に与える影響は大きく、受注調整を行う動機が十分にあるとみられている。なお、今回の調査対象となった4社を含むグループの売上は市場全体の約9割を占めるとされ、公取委は押収した資料の分析と関係者への事情聴取を進め、寡占市場となった医薬品卸売市場の実態解明を本格化させる方針だ。

 この日から始まった強制調査について、アルフレッサHDとスズケン、東邦HDは調査を受けていることを認め、協力するとコメントしている。

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