乳歯の早期脱落に注意 骨の病気、低ホスファターゼ症

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◆県歯科医師会コラム・歯の長寿学(289)

 乳歯は通常、5歳~7歳で抜けはじめます。多少の個人差はありますが、4歳未満で乳歯が抜けてしまう子供さんがいます。転んだりぶつけた記憶が無いのに乳歯がぐらついたり、4歳未満で乳歯が抜けてしまった場合、呼吸器や全身にさまざまな疾患を起こす「低ホスファターゼ症(HPP)」を疑います。

 この病気は骨を作る酵素「アルカリホスファターゼ」が十分に働かないことによって起こる病気です。このHPPは骨格系の症状を中心にさまざまな症状を発症し、命を脅かすこともある遺伝性代謝性疾患です。全身性の症状の例として異常歩行(アヒル様歩行)、腕や大腿(だいたい)骨の湾曲、筋力の低下、長期の筋肉痛や関節痛、簡単に骨折をおこす、成長や発育の遅れ(低体重、低身長、歩行の遅れなど)があげられます。

 発症時期もさまざまで、周産期及び出生時から生後6か月までに発症する乳児型、生後6か月以上18歳未満で発症する小児型、18歳以上に発症する成人型があり、症状が歯にのみ表れる歯限定型に分類され、発症時期が早いほど重症で予後が悪いとされています。

 健康な骨はカルシウムとリン酸が結合することが必要で、アルカリホスファターゼがうまく働かないとリン酸を産出してのハイドロキシアパタイトの生成が出来なくなることや、無機ピロリン酸が分解されずに蓄積して骨の石灰化が阻害されます。

 乳歯の早期脱落はセメント質形成不全が起こり歯根膜を介して骨と強固に接着することが出来ないために通常より早く抜けてしまうのです。治療法として酵素を注射で補ったり対症療法が確立されているが、早期発見が重要となっています。

 そのため、HPPの一つのサインとなってる乳歯の早期脱落が早期発見のカギとなるのです。1歳半、3歳児健診で歯科医師も気をつけて早期乳歯の脱落を診ているのですが、ご家庭でも抜けるのが早いなぁ~、根の長い乳歯が抜けたと思ったならば、歯科医院か小児科へご相談ください。(梅村誠 セルージュデンタルクリニック 宜野湾市)