石木ダム事業認定取り消し訴訟 あす控訴審判決 治水、利水面の必要性 どう判断

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 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、反対住民らが国に事業認定取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が29日、福岡高裁で言い渡される。一審長崎地裁は昨年7月、同ダムの必要性を一定認め、原告側の請求を棄却した。同高裁の判断が注目される。

 同ダムを巡っては、国が2013年、土地収用法に基づく事業認定を告示。反対住民らは事業認定取り消しを求め、15年11月に提訴した。

 一審では、同市の利水と川棚川の治水を主目的とする同ダムの必要性が争点となった。原告側は利水、治水、いずれの面でも建設の必要性はなく、水没予定地の反対住民13世帯の土地を強制的に収用する公共性を欠くと主張。これに対し、長崎地裁は県の治水計画や同市の水需要予測などは合理性を欠くとは言えないとし、事業認定した国土交通省九州地方整備局(九地整)の判断は適法と結論付けた。原告側が判決を不服とし、控訴していた。

 控訴審でも原告側は治水、利水両面で問題点を追及。証人として専門家2人の尋問を求めたが裁判所に却下された。「代替地への移転で地域コミュニティーは再現できる」とした一審判決に反論するため、住民の暮らしを追ったドキュメンタリー映画の法廷内上映も求めたが、採用されなかった。一方の国側は「原判決は適正」として請求棄却を求めている。

 同ダムを巡っては、水没予定地の13世帯の宅地を含む全未買収地約12万平方メートルの所有権が9月、土地収用法に基づき県と同市に移った。今月18日には13世帯の家屋などの物件も含む土地の明け渡し期限となったが、13世帯は明け渡しに応じていない。県と同市は収用した全ての土地について、家屋の撤去などの行政代執行を中村法道知事に請求できるようになっている。