「準備が大事」―巨人岡本の“復調”を手助け、最強助っ人クロマティ氏が伝えたこと

巨人OBのウォーレン・クロマティ氏と篠塚和典氏の特別対談が実現【写真:荒川祐史】

6月からゲストとして巨人で若手を指導、復調した岡本の良さはどこに?

 巨人史上最強助っ人と呼ばれるウォーレン・クロマティ氏。今季は球団のゲストとして若手を打撃指導し、“存在感”を見せた。巨人は日本シリーズでソフトバンクに敗れ、日本一はならなかったものの、5年ぶりにリーグ制覇を達成。クロマティ氏はFull-Countのインタビューに対して「満足しています」と明かす。

 特に大きな変化を見せたのが、4番の岡本和真内野手だった。昨季、全143試合に出場して打率.309、33本塁打、100打点と「3割・30本塁打・100打点」を記録した若き主砲は、5月は打率.255、2本塁打、13打点、OPS(出塁率+長打率).639と成績を落とした。しかし、クロマティ氏が打撃指導を始めると、6月は打率.282、6本塁打、12打点、OPS.899と復活。結局、シーズン成績では打率こそ.265と落ちたものの、31本塁打、94打点と警戒される中で2年続けて同等の数字を刻んだ。

 いったい、クロマティ氏は何を岡本に伝えたのか。岡本の打者としての良さはどこにあるのか。

「オカモトさんはまだ若い。23歳です。私の指導としては打撃においては準備が大事ということを伝える。プランニング、そして、集中です。日本の打撃指導ではメンタルの部分を教えることはあまりありませんが、打撃に関してはメンタルが非常に重要。毎日修正しなければいけません」

 クロマティ氏は岡本への打撃指導をこう振り返る。ブレーク翌年、多くの期待、重圧がかかる中で巨人の4番として結果を残すのは、決して簡単ではない。そのメンタル面をクロマティ氏は“整備”したというのだ。

「いい選手になるにはいい聞き手である必要があります」

「岡本さんの問題は去年の大ブレークによるものでした。昨季は打率3割。多くのプレッシャー、多くの期待を感じていました。彼にとって、私の意見は全く新しいものでした。打撃練習、準備、打撃練習、そして、準備、そして、試合に入る。彼は若い。パワーがある。今や日本でトップ5のパワーヒッターかもしれない。
 
 岡本さんには彼のパワーに集中してほしかった。センター方向、右中間方向にライナーを飛ばす。パワーヒッターは反対方向に飛ばすパワーを示すべきです。そこに集中する。彼は私の計画、私の指導を受け入れてくれた。それは大事なことです」

 持っている能力、パワーに疑いの余地はない。あとはそれをどう生かすか。クロマティ氏が伝えたのは、その部分だった。そして、それを岡本が「受け入れた」ことも大きかったと強調する。

「時には、聞く耳を持たない選手もいます。人の意見に全く耳を傾けない。話をしたとしても、右から左に聞き流してしまう。岡本さんは全てを受け入れてくれた。彼の出した結果にはすごく満足しています。野球に限りません。どのスポーツでも、いい選手になるにはいい聞き手である必要があります。いい生徒でなければいけない。岡本さんは生徒として優秀でした」

 巨人史上最強助っ人として球団史に名を刻むクロマティ氏。ブレーク翌年も結果を残した岡本の“学ぶ姿勢”も絶賛し、さらなる成長に期待していた。(Full-Count編集部)

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