日産、ジューク後継でキックスを2020年初夏に発売か|タイから輸入、e-POWERも設定

日産 キックス[2020年モデル・北米仕様]

キックスってどんなクルマ!?

日産 キックス[2020年モデル・北米仕様]

日産 キックスは2016年にブラジルで発売。以来南米諸国に加え、北米や中国など世界主要各国で次々に発表されているグローバルモデルだ。2016年の時点で世界80カ国への展開を計画していた。

それから3年。

2019年11月の一部新聞報道によれば、日本でも近年成長著しいコンパクトSUV市場に向け、このキックスを2020年春に導入すると報じられていた。しかしこれはどうやら勇み足の誤報だったようだ。

実際はもう少しずれ込み、2020年初夏の導入予定だと言われている。ただし昨今の世界的なコロナ禍の影響を受け、さらに導入が遅れる可能性も出てきた。続報を待ちたいところだ。

ブラジルやメキシコなど世界の日産工場で生産されるキックスだが、日本向けはタイ工場で製造し輸入される模様だ。タイ日産では日本向けのマーチを既に生産しており、日本への輸出モデルとしてはキックスが第二弾となる。

今や世界的ブーム! コンパクトSUVの市場を開拓したのは日産だった

日産 ジューク 2010~

コンパクトSUVといえば、ブームを巻き起こした最初のきっかけは日産からだ。

2010年、世界に先駆け日産 ジュークが誕生。扱いやすいボディサイズに加え斬新なデザインが特徴で、日欧などで人気を博した。その後世界各国の自動車メーカーからコンパクトSUVモデルが誕生し、世界的な人気カテゴリーとなっている。

そんな元祖のジュークもデビューから9年が経過。リフレッシュを図るべく、2019年9月にフルモデルチェンジを実施している。

当然この最新モデルの新型ジュークが日本にも導入されるものと思われていただけに、報道が事実だとすればちょっと意外だ。しかも2016年発売から4年が経過した日産 キックスを2020年のいま日本へ導入する意図は、ちょっと理解に苦しむところではある。

日本仕様はどうなるの? e-POWER仕様もある!?

日産 キックス[2020年モデル・北米仕様]

全長4.3mのコンパクトなボディサイズ

日産 Kicks(キックス)

日産 キックスのボディサイズは全長×全幅×全高が4,295mm×1,760mm×1,590mm(2016年発表時)。海外のモデルでは1.5~1.6リッターの直4ガソリンエンジンを搭載し、FF(前輪駆動)もしくは4WDの設定がある。

ちなみに、日産が2019年9月に欧州で発表した2代目の新型ジュークのボディサイズは全長×全幅×全高が4,210mm×1,800mm×1,595mmで、割と寸法も近いことが分かる。2010年にデビューし今も現役の現行型、初代日産 ジュークはというと、全長×全幅×全高が4,135mm×1,765mm×1,565mm。

現在日本では、2019年11月にコンパクトSUVのダイハツ ロッキー/トヨタ ライズが発売され話題を呼んでいる。こちらは全長×全幅×全高が3,995mm×1,695mm×1,620mmの5ナンバー規格に収まるサイズで、日産の各モデルよりひと回り短く背だけが少しだけ高いという、スクエアな形状が特徴となっている。

ジュークではなくあえてキックスが日本へ導入される理由|日本導入とともにマイチェンも実施か

日産 新型ジューク(欧州仕様)[2019年9月3日発表]

さて、ジュークではなくキックスが日本へ導入されるのはなぜだろう。

現状、新型ジュークは欧州でのみ生産される。パワートレインは1リッターガソリン直噴ターボエンジンとDCTの組み合わせで、日本向けのモデルには採用されていない。初代同様に個性的なデザインは、ちょっと好き嫌いが分かれるところだ。

いっぽうのキックスも、良く良く見れば抑揚の効いたスタイリッシュなデザインだが、ディテールの処理はノートやエクストレイルなど既存の日産各モデルとも共通性がある。その分新鮮さには欠けるが、クセの強いジュークから比べると、より多くのユーザーが馴染みやすいだろう。量販を考えた選択肢として、あえてキックスが選ばれたのかもしれない。

そんなキックスもグローバルのデビューから4年を経過していることから、日本にキックスが導入されるタイミングでマイナーチェンジも実施されるはずだ。

フロントグリルやライト回り、ホイールデザインやシート表皮、インパネ回りといった内外装デザインの一部がリニューアルされる可能性が高い。どこまでスタイリッシュに生まれ変わるか、その点にも注目だ。

日本仕様はキックスe-POWERになる!?

日産 Kicks(キックス)

グローバルモデルの日産 キックスには1.5~1.6リッターのガソリンエンジンが搭載されているが、日本仕様は日産独自のハイブリッドシステム“e-POWER”搭載モデルも導入するとの話が持ち上がっている。

e-POWERは1.2リッターのエンジンを発電専用とし、モーターを駆動させ走行。EVのようなスムーズな加速感と優れた燃費性能を兼ね備える。コンパクトカーのノートやミニバンのセレナに搭載され、高い人気を誇っている。

日産では今後このe-POWERをさらにグローバルで広く展開していくと公言しており、キックスe-POWERもその1台となりそうだ。

もちろん通常のガソリンモデルも併売されると思われる。日本仕様は1.5リッターガソリンモデルとなるだろう。

200万円を切る販売価格に期待! 燃費はどうなる!?

日産 キックス[2020年モデル・北米仕様]

ベーシックモデルで190万円台、キックスe-POWERは約250万円~!?

2018年、北米で発表されたキックスの価格はFFのベーシックモデルで17,990米ドル、4WDモデルで20,290米ドルとなっていた。米ドルを1ドル109円(2019年11月末現在)で計算すると約196万円~221万円となる。

標準装備の設定や消費税の違いなどもあり単純に比較できるモノではないが、日本でもスターティングプライスが200万円を切っているとインパクトがある。ここは期待を込め、日産 キックス 日本仕様の価格は199万円~、と大胆に予想したい。

なお日産 セレナやノートの例で比較すると、e-POWERは通常モデルに対しおおまかに見て約50万円高で設定されている。ここから導くと、キックスe-POWERの価格はベースモデルに対し約50万円高の249万円~、と予想される。

キックスe-POWERの燃費は25.0km/Lを超える? 超えない!?

e-POWERと聞くと、俄然燃費性能も気になってくるところだ。

クラスは少し上だが、トヨタ C-HR ハイブリッドモデルのWLTCモード燃費は25.8km/Lをマークしている。よりコンパクトな日産 キックスe-POWERの燃費は、少なくとも25.8km/Lの水準を超える27.0km/L台を目指したいところだ。

ガソリンモデルについてはダイハツ ロッキーと比較してみよう。ロッキーは小排気量の1リッターターボを搭載し18.6km/L(4WDは17.4km/L)をマークする。1.5リッターノンターボエンジンが搭載される(はず)の日産 キックスと直接比較するのは難しいが、同等の17.0km/L~18.0km/L水準を期待したい。

日産 キックスの発売時期、グレード展開は!?

日産 Kicks(キックス)

タイで生産され、日本へ導入する日産 キックス。その導入時期だが、2020年初頭に生産を開始すると言われている。船便で日本にやってくるのは、早くとも2020年の4月か、遅くとも6月頃になると思われる。

輸入モデルということで、複雑なグレード展開や工場装着オプション(メーカーオプション)の設定も限られていくだろう。基本的には1仕様で、エンジン・駆動の違いで分けるシンプルな展開を予想する。ガソリンモデルはFFと4WDで同グレード2タイプを設定、さらにe-POWERはFFで、1グレード+パッケージオプション仕様の2タイプ、全4グレードというのが当初の路線ではないだろうか。あとはスターティングプライスを抑えるため、例えば200万円を切る廉価なグレードを別途設定するケースもあるかもしれない。

先進安全機能は最新水準にアップデート

日産 Kicks(キックス)

いくら基本設計が2016年発売のモデルとはいえ、2020年にデビューするからには先進安全技術は充実したものでないと、日本のマーケットでは受け入れがたいだろう。スカイラインに搭載の“プロパイロット2.0”は難しいとしても、セレナなどに採用の360°セーフティアシスト(全方位運転支援システム)同等レベルの水準は期待したい。

具体的には、インテリジェントエマージェンシーブレーキ、踏み間違い衝突防止アシスト、後側方衝突防止支援システム、車線逸脱防止支援システム、プロパイロット、アクティブLEDヘッドライトシステム、アラウンドビューモニターといった数々の先進運転支援機能の数々だ。

事実2020年北米仕様車では既に同等の装備が与えられていることから、日本仕様においても実現する見込みは高い。

なお海外仕様のキックスの画像を見る限りスマートフォンとの連携、Apple CarPlayやAndroid Autoへの対応は現状でも出来ているが、ディスプレイは7インチとかなり小型だ。マイナーチェンジを機に大画面ナビゲーションの採用やSOSコール(ヘルプネット)、更なるコネクテッド技術の搭載などにも期待したい。

[筆者:MOTA編集部]

© 株式会社MOTA