スウェーデンやデンマークの都市が持続可能なMICE開催都市ランキング上位に

世界の持続可能なMICE開催地や出張先を評価するグローバル・デスティネーション・サステナビリティ指標(GDS-Index)が発表され、スウェーデン・ヨーテボリ、デンマーク・コペンハーゲン、スイス・チューリッヒが上位3位に選ばれた。GDS-Indexは、地方自治体が持続可能な発展を把握するために政治的な場面でも使われることが増えている。(翻訳=梅原洋陽)

1位-10位に入ったのは、スウェーデン・ヨーテボリ、デンマーク・コペンハーゲン、スイス・チューリッヒ、スコットランド・グラスゴー、デンマーク・オールボー、アイスランド・レイキャビク、スウェーデン・マルメ、オーストラリア・シドニー、スウェーデン・ウプサラ、オーストラリア・メルボルンだった。

今回で4年目となったGDS-Indexは、重要なステークホルダーである世界持続可能な観光協議会(GSTC)、ソーシャル・プログレス・インペラティブやイベンツ・インダストリー・カウンセルなどの指標と合わせたものとなっている。外部の諮問機関の支援のおかげで、より透明で厳格になり、さらなる価値がGDS-Indexに加わったことで、これまでよりも多くの会議やイベント、そして観光セクターで活用されることになった。

2019年のGDS-Indexの結果

GDS-Indexでは、SDGsに沿って、4つの重要な項目である「環境戦略とインフラ」「社会的持続可能性」「関連産業のパフォーマンス」「DMO(観光地域づくりのための戦略を考える組織)戦略とイニシアティブ」を評価。スウェーデン・ヨーテボリは4年連続で首位となり、今年は100点満点中89.64点を獲得。昨年からスコアを7%上げた。ヨーテボリは2019年のGDS-Indexリーダシップ賞を受賞した。

ヨーテボリの観光局ディレクターのアニカ・ハールマン氏は、「GDS-Indexは、サステナビリティの取り組みを推進するための強力な後押しになっている。そして、われわれが新たな取り組みを始め、他の都市が今以上に持続可能になるためのきっかけにもなっている。われわれは講演を行ったり、他の都市からも見学者が来る。1位というポジションを活用することで、世界の会議産業におけるサステナビリティを向上させながら、世界的な会議や集会の目的地としてヨーテボリの位置付けを高めている」と語った。

2019年のGDS-Indexによると、世界のDMOはサステナビリティを意識して行動しているようだ。2018年に比べ、全体のパフォーマンスは29%向上している。トップ10に新しく入った都市はスウェーデン・オールボーとアイルランド・ダブリン、そして大幅な向上を見せたのはスコットランド・グラスゴー、オーストラリア・シドニー、そしてスイス・チューリッヒだ。

観光地づくりの戦略を考えるDMOの重要性高まる

今年のGDS-Index賞は、米テキサス州・ヒューストンで行われた国際会議協会(ICCA)の閉会式で発表された。

ICCA代表であるジェームス・リース氏は「気候変動の影響が明らかになり、行動を求めるプレッシャーが増していく中で、会議やイベント業界は開催地にとって良い経済効果を引き続き生み出すだけでなく、われわれのビジネスによって影響を受ける社会や環境にとっても良いことをしていくべき。観光地経営組織・DMOは、滞在者によってもたらされる経済活動を持続可能なものにするためのカギを握る。GDS-Indexが発展し、持続可能な開催地を促進する上で大切な役割を担っていることを嬉しく思う」と語った。

6人の専門家からなる審査パネルは、シドニーのサステナブル・ディスティネーション・パートナーシップ(SDP)をGDS-Indexイノベーション・アワードに選んだ。SDPは複数のステークホルダーが連携しており、2030年までにシドニーのホスピタリティ部門の二酸化炭素排出量を70%削減し、同市のゴミの90%を循環させる計画だ。審査員達は、第2位のプロジェクトに選ばれた、ステークホルダーを巻き込むプログラム「ワンダフル・コペンハーゲン」や「グリーン・サプライチェーン・イニシアティブ・オブ・リュブリャナ・ツーリズム」を高く評価した。

そして今回初めて、GDS-Indexの改善部門賞(Best Improver Award)が地域に送られた。「ミート・イン・アイルランド・パートナーシップ」を代表して、ダブリン、リムリック、コーク、ケリーが受賞した。この地域はGDS-Indexに地域として協力し、サステナビリティを向上させるために2018年に加入した。デンマーク・オールボーやスロベニア・リュブリャナは、パフォーマンスもランキングも大幅に上がった。

アイルランド政府観光局商業開発長のポール・モックラー氏はこう言う。

「われわれはツーリズムによってアイルランドにもたらされる社会的、環境的なインパクトから国中の地域が恩恵を受けられるように、ツーリズムのサステナブルな発展に力を入れてきた。ダブリンなどで行ってきた持続可能な活動への投資が特別な賞をもらい、認知してもらえたことを非常に喜ばしく思う。これで、世界をけん引するサステナブルな場所として認識してもらうためのスタート地点につくことができた。今後のさらなる発展を楽しみにしている」

GDS-Indexのマネージング・ディレクターのガイ・ビッグウッド氏は、「今年度の結果は、DMOがサステナビリティをどのように戦略や価値提案、管理、報告に組み込むようになっているかを示す喜ばしいものだった。今後、DMOは変化へのビジョンをより強く示し、ステークホルダーを巻き込みながら、さまざまな資源を活用していくべき。また、社会的インパクトを地域や訪問者に示していくことが必要だとわかった」と語った。

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