【熊本城のいま】建物の高さ制限緩和 危惧

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通町筋から見た熊本城の景観=熊本市中央区手取本町

 「熊本市はシンボルである熊本城を見下ろす建物を建ててもいい、と言っているように聞こえる」「大変心配される問題」「熊本城の景観を守ってほしい」。13日にあった特別史跡熊本城跡保存活用委員会(委員長・伊東龍一熊本大大学院教授、13人)では、熊本市が8月に市中心市街地の建物の高さ制限を緩和したことに対し、危惧する意見が上がった。

 中心市街地の建物の高さ制限は、市が1991年に策定した都市景観基本計画に基づいて始まった。「本丸の石垣の高さ(海抜50メートル)を超えないようにすること」と定め、熊本城の景観と天守閣からの眺望の確保を求めた。

 ただ、「どこから見た熊本城の景観か」など具体的な決まりはなく、市は2000年に同計画を見直し。熊本城への眺望を確保する「視点場」として(1)通町筋(2)桜町(3)花岡山(4)本妙寺(5)長塀通り-の五つを設けた。

 さらに10年に改正し、白川とJR鹿児島本線の間に当たる「一般地区」(熊本城域を除く)では海抜55メートル、「京町台地区」は海抜63メートルまでに緩和した。再開発事業に限っては、市の景観審議会が了承すれば規制を超える建物も可能となった。

 8月の緩和策ではさらに、建物周辺にオープンスペースを設けるなどの条件を満たせば、70メートル程度の建物が可能になった。

 これを受け、市中心部でのビルの新築と建て替え2棟の計画が市に申請され、景観審議会が10月に了承。審議会会長の村上祐治東海大教授は「基準をわずかに超えているものの、熊本城からの景観を損なうものではない」とした。

 熊本城周辺の建物の高さ制限が次第に緩和され、ついには70メートル程度が可能となった状況について、熊本城顕彰会理事の富田紘一さん(75)は「歴史家や文化人は、熊本城の景観を守るために憎まれても主張を続けた。これに対し、実業界は利潤を上げるために高層ビルを造りたい気持ちはあっても制限を受け入れてきた経緯がある。8月の緩和策は、これらの思いと妥協点を踏みつぶす発想のように思える」と指摘する。

 市都市整備景観課は「規制を超える建物については景観審議会が個別審査をしている」とした上で「合理的な規制を設けて、熊本のランドマークである熊本城を中心とした景観を守っていく方針に変わりはない」としている。(飛松佐和子)

(2019年11月29日付 熊本日日新聞朝刊掲載)