【レビュー】ドラゴンと人間の共生する世界のその先へ―!シリーズ完結編『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』

『ヒックとドラゴン』というドリームワークスが手がけたアニメ映画を知らない人はどれくらいいるだろう?

2010年に公開された1作目は、アカデミー賞長編アニメ映画賞にノミネート、惜しくも『トイストーリー3』に受賞は持っていかれたが(これはある意味仕方がない!)アニメ界のアカデミー賞と言われるアニー賞で10冠。

続編の『ヒックとドラゴン2』はアニー賞作品賞だけでなく、ゴールデングローブ賞も受賞と2作揃って高い評価を受けた。

このシリーズ、予告を見ただけでは十分に伝わらないレベルでとにかく面白い。

どこか猫に似たドラゴンのトゥース少年ヒックの交流は涙を誘うし、バイキングやドラゴンたちの造形やキャラクターはかわいくてクセになる。さらには、海の上や空高くを縦横無尽に飛び回るアングルは、見とれるほどに美しい。

トイストーリー並に鉄板の面白さを維持してきたと言ってもいい、そんなシリーズの完結編『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』がようやく日本で公開される。

あれほど面白かった2作目だけは何故か日本では劇場未公開・・・多くのファンが落胆していただけに、今回の公開は嬉しい限りだ。

ただ、その内容については当然に期待のハードルも高まるばかりであったが、いざ蓋を開けてみるとやっぱりこのシリーズは鉄板だった。

1作目では少年ヒックの成長譚を中心に、人間とドラゴンの対立と和解を描き、2作目ではドラゴンと人間が共生する世界において家族の再生と喪失、赦しについてがテーマとなっている。

そして本作では、ドラゴンと人間の共生する世界のその先へ――。

シリーズ全てに言えることだけど、物語が大きく展開する場面の音楽がとても良く、こちらの感情をどんどん揺さぶり高めてゆく。

これまで同様ヒックとトゥースのやり取りは涙なしには見れず、特にペットを飼った経験がある人にはヤバいのでは?と想像してしまう。

監督のディーン・デュボアは宮崎アニメの大ファンで、空を飛ぶシーンは『紅の豚』『魔女の宅急便』を参考にしたと公言しているが、『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』についてはストーリーの一部でも『魔女の宅急便』の影響を受けて、それを膨らませたような印象を受けた。

シリーズに触れていない人達は是非おさらいをして、劇場の大スクリーンで完結篇の本作を楽しんほしい。

『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』 あらすじ

かつてドラゴンは人間の敵だった。弱虫のバイキングの少年“ヒック”と、傷ついたドラゴン“トゥース”の活躍で彼らは共存する道を選び、バーク島で平和に暮らしていた。だが、ドラゴンが増え続けたバーク島は定員オーバー!亡き父の跡を継ぎ、若きリーダーに成長したヒックは、島を旅立ち、みんなと新天地を探し求める決断をする。しかし、大移動の旅の途中、最凶のドラゴンハンターに命を狙われ、“トゥース”の前には白い謎のドラゴン“ライト・フューリー”が姿を現す…。そして彼らが辿り着いたのは、人間は住めないドラゴンたちだけの<隠された王国>だった―! “ヒック”と“トゥース”は別れる運命なのか?今、人間とドラゴンの友情が試されるー。

■製作総指揮:ディーン・デュボア、クリス・サンダース
■監督&脚本:ディーン・デュボア
■配給:配給:東宝東和、ギャガ

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